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第146回  工房の 〜 撮 影 会 の 日 〜

「じゃ、輝豸雄、一旦此処でお別れだ。」
「へ?」
「んじゃ、また後でな。」
「ちょ、ちょっと待って下さいよ、くま旦那さん。
 一緒に撮りましょうよ。
 ぼく、こういう処初めてなんですよ。どうやって撮ったら良いか解らないし。
 教えて下さいよ。」
「な、何を言うんだ、輝豸雄。
 オレだってこんな処初めてだよ。」
「じゃぁ、尚更一緒に、、、。」
「だ、ダメだょ。
 2ちゃんで、こういう処ではみんなバラバラで動くのがマナーらしいし。」
「そ、そうなんですか?」
「そうらしいよ、よく知らんけど。」
「は、はぁ。」
「まっ、じゃ、そういうことで、後でな、輝豸雄。」
「そ、そんなぁ〜。」
「撮影会は5時までだから、5時半に駅前の書源でな。」
「は、はぁ。   変なコーナーに居ないで下さいね、くま旦那さん。」

そういう輝豸雄の台詞が終わらぬうちに、くま旦那の姿は人混みの中に消えていってしまった。


”さて、、、と。”

輝豸雄は一人になって考えた。

会場は、輝豸雄が思った以上に広かった。
彼方此方で人だかりが出来ている。
きっと、其処で撮影が行われているのだろう。

輝豸雄は、手にしたカメラをもう一度確認すると、人混みの中へ入っていった。








数日後、
輝豸雄とくま旦那は駅前のマクドにいた。

「やっと、現像できたな、輝豸雄。」
「そうですね、くま旦那さん。」

二人の前には、数え切れない数の写真があった。

暫く二人はそれぞれの写真に見入っていた。

やがて、徐に、くま旦那が口を開いた。

「オレの、一押しは、これだな。」
「おぉ、凄いっすね。」
「輝豸雄のお気に入りはどれだい?」
「そ、そうですねぇ、、、。」
「どれだよ?」
「こ、これかな?」
「か、偏ってるなぁ〜。」
「な、何言ってるんですか!
 頭上の余白は敵で、トライXで万全なんですよ!」


確かに、輝豸雄の知識は偏っていた。

                                                   第147回に続く