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第137回 工房の 輝豸雄の秘密 〜 発覚 〜
「お〜ぃ 輝豸雄!
何やってんだよ。 飲みに行くぞぉ〜。」
「輝豸雄く〜ん、いるの〜?」
輝豸雄の返事を待つまでも無く、
甘栗と麝弐猪が、輝豸雄の部屋に入ってきた。
輝豸雄は、慌てて振り向いた。
「な、なんだよ。
急に入ってくるなよ。 ビックリするじゃないか。」
「いいじゃねぇか、俺とお前の仲たしさ。」
「そうだよ、輝豸雄くん。早く一緒に飲みに行こうよ。」
「い、いやぁ、なんか調子悪いし、今日はやめとくよ。」
「なんだよ、お前先月もそう言って行かなかったじゃないかよぉ〜。」
「そうだよ、輝豸雄くん。先月のお店は確かに不味かったけど、
今日の店はきっと美味しいよ。
いこうよぉ。」
「で、でも、、、。」
「なんだよ。 ハッキリしない奴だなぁ。」
「そ、そうだよ。いこうよぉ。」
「でも、、、。」
「そう言えば、お前 今部屋に入ってきた時、あの箪笥に何か隠したろ!」
「え〜、本当? どこどこ? 何々?どうしたの?」
「な、何にも隠してなんかないよ。
僕は、箪笥に何にも隠してなんかないよ。」
「ふ〜ん、そうかぁ?
俺は、あの奥の箪笥が怪しいと思うなぁ。」
「そ、そうなの? 妖しいの?」
「そ、そんなことはないよ。貯金箱なんて隠してないよ。」
「ふ〜ん。」
「 ! 」
「あっ。」
絶体絶命の、輝豸雄だった。
第138回に続く