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第135回  工房の はじめての お留守番

「おっとっ! ゲッソーだっ
 触らないように気をつけて、、、。
 ねぇ、この面って、上に行かんとダメだっけ? それとも、下だっけ?
 どっちだっけ?」



工房の食堂に、輝豸雄の声が響いた。    けれども、 帰ってくる声は無かった。



「あっ、そうか、今日は誰もいないんだ・・・・・・。  そうかぁ・・・・・。」

  

くま旦那も、
 くま女王も、
  甘栗も、麝弐猪も、
    他の誰もいない。


輝豸雄は、一人で留守番をしていたのだった。



テーブルの上には、くま女王が、出掛けに焼いて行ってくれたケーキがあった。
くま旦那は、「冷蔵庫の中の物は何でも食べていいよ。」 って言ってくれた。
思う存分、ゲームだって出来るのに、、、、、。
初めてのお留守番は、とっても楽しい夜になると思ったのに、、、、。



輝豸雄には、どうしてこんなにも寂しさがこみ上げて来るのか、わからなかった。
夜は、まだ長い。

                                                   第136回に続く