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第134回  工房の 見込み違い

 ”コンコン”  ノックの音がした。


「くま旦那さん、いますかぁ?」
「お〜い、居るのかぁ?」
「いますぅ〜?」
「ますぅ?」

返事を待つまでも無く、輝豸雄達が入ってきた。
大きな荷物を持っていた。

「えへへ、くま旦那さん。」
「よっ、くま旦那。」
「くま旦那さま〜。」
「さま〜。」
「えへへ。」
「でへへ。」
「えへっ。」
「へ?」

「で、、、、何か用なの?」  僕は思わず話し掛けた。


     


「だからぁ、 えへへ。」
「わかるだろ。」
「えへっ!」
「(にこにこ)」

「なにやってるの? 新しい遊びなのかい?
 それに、、、重くないの?」

「 ? 」
「おっ、おい、輝豸雄。 話が違うじゃねぇか」
「お、重いよぉ〜。」
「よぉ。」

「どうかしたのかい? 本当に重くないのかい?」
僕は、あらためて問いかけた。

輝豸雄が、キョトンとした顔をしている。

「てっ、撤収ぅ〜〜〜!」

彼等は、輝豸雄の掛け声を合図に、ドタバタと部屋を出て行ってしまった。


”何だったんだろう?”  輝豸雄達が消えたドアを見ながら、僕は、一人首を傾げていた。





「なぁ、輝豸雄くんよぉ〜。」
「は、はい。」
「ちゃんと説明してくれるよなぁ。」
「してくれるよね。」
「ね。」
「は、はい。」
「だいたい、本当なのかよ、あれでお金が貰えるって話はよぉ。」
「ほ、本当だよ、ひいお爺ちゃんは、プロの太鼓もちだったんだから。」
「プロぉ〜?」
「う、うん、毎日毎日、太鼓を持って食べてたんだって、倶馬美小母さんが言ってったもの。」
「おかしいよなぁ、じゃぁ何で、くま旦那は御小遣いをくれなかったんだろう?」
「そうだよねぇ、、、。」
「くま旦那は、ケチなんだよ、きっと。」
「そうか。やっぱり、ケチなんだ。」
「ケチじゃしょうがないか・」
「ケチじゃねぇ、、、、。」



” でも、、、 本当に、どうしてくま旦那さんは、太鼓持ちの僕たちに、御小遣いをくれなかったんだろう、、、。 ”

輝豸雄の悩みは、尽きる事が無かった。

                                                   第135回に続く