もどる
第124回  工房の その列の目指すもの

「はい、押さないで下さい。
 押さないで下さい。
 ちゃんと4列に並んでゆっくり進んでください。」

「数は充分用意して御座いますが、
 万が一、品切れの際は、ご容赦ください。」

「押さないで下さ〜い。」

「行列の途中で、トイレに行きたくなった時は、
 前後の人の許可を貰って行って下さい。
 こちらでは、関与出来ません。」

「お、押さないで下さい。」

「誠にすみません。
 本日の限定品のうち、1/1 ハイパーハンマーレプリカは、今しがた完売しました。
 他には、中隊長用角も、残り少しとなっております。」

「押さないで下さ〜い。お願いします。
 ゆっくり前に進んでください。」

「シュツルムディアス改造用バックパックは、この列では、販売しておりません。
 この列は、RX78ガンダム及びMS06ザク用の限定品の列です。
 お間違えの無い様にお願いいたします。」

「お、押さないで下さ〜い。」

「会場内は走らないで下さい。
 購入された方は、こちらの出口から展示コーナーへお進み下さい。
 再入場は出来ません。」

「押さないで下さい。」

「本日予定されておりました、フラゥ・ボゥさんの講演会は、
 都合により、中止となりました。
 誠に申し訳御座いません。」

「押さないで下さい。」

「管理局からのお知らせです。
 D−236ブースの「神田夢子ふぁん倶楽部」さんで、
 現在、サイン会が行われています。
 皆様、こぞって参加くださいませ。」

「押さないで下さい。」


 


” あぁ、早くバイトが終わらないかなぁ、、。 ”

 輝豸雄は、朝からず〜っと、そればかり考えていた。

                                                   第125回に続く