もどる
第116回  工房の 祭囃子が聴こえる

「で、どうでした? くま旦那さん?」

とある夏の日の午後、町内会の会合に出かけたくま旦那の帰りを、
輝豸雄達は夜遅くまで待っていた。

「おぅ、だだいま。」
「お帰りなさ〜い。」
「なさ〜い。」
「で、どうでした? くま旦那さん?」
「で、どうだったんだよ、くま旦那。」
「どうなったんでしょうか?」
「だすかぁ?」

輝豸雄達の質問攻めにくま旦那は、一瞬たじろいだが、
子熊達の眼前に大きく右手を突き出すと、
Vサインを作った。

「おぅ、バッチリだ。
 本当にお前達、頑張ったんだなぁ。」
「ほ、本当ですか?
 嘘じゃないですよね。」
「やったー!  やったー!」
「そうかぁ、、、。今年はかつげるんだぁ、、、。」
「よかったね、輝豸雄くん。」
「うん。」
「やったな、輝豸雄!」
「うん。」
「お前たちが一生懸命頑張る姿を見て、
 町の人みんなが、神輿をかついでも良いよって言ってくれたんだぞ。」
「よかった〜、本当に嬉しいよ。」

「それに、お前たちの為に、町内会長さんが、新しい神輿を作ってくれるそうだ。」
「え〜!」
 「え〜!」
  「え〜!」
   「え〜!」
輝豸雄達の歓声が工房中に響いていた。




    


「ワッショイ! わっしょい!」
   「わっしょい ワッショイ!」
      「ワッショイ! わっしょい!」
         「わしょ〜い ワショ〜イ!」

ついに、その時はやってきた。
輝豸雄達の神輿の出番がやってきたのだ。

みんなでかつぐ 子熊神輿!

忘れられない夏祭りが始まった。


                                                   第117回に続く