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第114回  工房の 鍋 ・ 鍋 ・ 鍋

「お〜い、出来たよ〜。」
「は〜い。」
「おっ、美味そうな湯豆腐だねぇ。」
「だねぇ。」
「今日で、3日連続だけどな。」
「それを言うなって。」
「なって。」
「今日は、蜜柑もあるし。」
「えっ、み、みかん?  どうしたの?」
「暑くなったら食おうって、冬の間に冷凍蜜柑にしてたヤツを、
 解凍したんだってさ。」
「冷凍蜜柑って、、、。 誰がそんなこと考えてたんだ?」
「そんなこと考えるのは、くま旦那だけだって(笑)。」
「そうだよなぁ、、、、(笑)。」
「そうだよ(笑)。」
「だよ。」


  

「それにしても、相変わらず寒いね〜。」
「いね〜。」
「何時直るんだろうね、エアコン。」
「くま女王さんのボーナスが出るまでは無理なんじゃないの?」
「くま旦那のボーナスはどうしちゃったの?」
「使っちゃったらしいよ。」
「ふ〜ん、そうなんだ。」



  突然工房のエアコンが暴走を始めたのは3日前だった。
  設定温度 15度 
  風力    最大 に設定されたエアコンは、
  押しても引いても、叩いても蹴っても
  止まらなかった。



「なぁ、輝豸雄。」
「何だよ。」
「もしかしたら、コンセントを抜けばいいんじゃないかな?」
「 ! 」
「抜いてみようか?」
「そ、そうだね。それは思いつきもしなかったよ。」
「うんうん、抜いてみようよ。」
「ようよ。」
「でも、、、。」
「でも、、、ってなんだよ、俺の発見に文句が有るのかよ!」
「いや、、、その、、、。」
「なんだよ、ハッキリいえよ!なんだよ!」
「そうだよ、輝豸雄くん! はっきり言ったほうがいいよ!」
「いいよ!」

輝豸雄が、重い口を開いた。

「抜くのは、湯豆腐を食べてからにしないか?」

全員の意見が一致したことはいうまでもない事だった。
                                                   第115回に続く