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第39回 工房の ドナドナ
或る晴れた昼下がり、輝豸雄たちは市場へ向かっていた。
月に一度の「肉牛の出荷日」だからだ。
「なぁ、輝豸雄、、、。」
相棒が、寂しそうな声で呟く。
「今月は、不作だったな。」
荷台に乗った3頭の丑をバックミラーで観ながら、輝豸雄は小さく頷いた。
”ゥモゥォ〜ウ” 丑が一頭鳴声を上げた。
午後の陽射しは、とても眩しかった。
第40回に続く