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第110回  工房の  お わ り よ け れ ば、

「お、親父ぃ〜。
 本当にありがとう、おかげで助かったよ。」
  「あ、ありがとうございます!」
     「たすかりました〜。」
         「ましたぁ〜。」

突然の展開に、あっけにとられていた輝豸雄達だったが、
漸くのことで、落ち着きを取り戻すと、口々にお礼を言い始めた。


「でも、兄貴のマシンより強いヤツがいるなんて、
 びっくりしたよ。
 今まで、無敵だったのになぁ。」
「今度ばかりは、アイツも懲りただろう。
 機械じゃ平和は守れないよ。」
「そうかなぁ、、、。
 兄貴は十分強いと思うけど、、、。」
「機械は、電池が無ければ、只の置物にしかならん。
 アイツは何度言っても、そこが解かってないんだっ!。」
「う〜ん、、、、。」




「そんな事は無ぇ!
 今回は偶々、電池が切れただけだっ!
 電池さえ切れなければ、、、。」

その声に、輝豸雄達は振り向いた。

「あっ、兄貴ぃ〜。」

そこには、小さな銀色の戦士が立っていた。


    

「兄貴ぃ、
 本当にありがとう、兄貴が来てくれなかったら、オレたちみんなあの桃色の大きなヤツに
 踏み潰されていたよ〜。」
「お、おにいさん。
 あ、ありがとうございました。
 おにいさんは、命の恩人です。」
「あ、あにさまって呼んでもいいですか?」
「ですかぁ〜?」


「ふんっ、
 弟がピンチの時に守ってやれなくて、何が兄貴だよ。
 おれは、当り前の事をしただけだ。」
「あ、兄貴ぃ〜。」
「お、オレに触るなっ!
 また、修行のやり直しだっ!」
「・・・・・・・。」
「おっ、親父っ! マシンが直ったら一度実家に帰るからなっ。
 じゃぁな。」
「あっ、兄貴ぃ〜、、、、。
 あ、ありがとう〜。」




” おにいさん、本当にありがとう、、、。 ”
輝豸雄は、心の中で呟いた。
” このお礼は、いつか必ず、、、、。
  ぼくの開発したニュートロン・ジャマー・キャンセラーで、、、。 ”
輝豸雄は強く心に誓っていた。

                                                   第111回に続く