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第109回  工房の 大 自 慢 大 会     その1

「よ〜し、みんな持って来たなぁ〜。」
「み、みんなって、3人しかいないし(笑)。」
「そうそう。僕達だけだって。」
「いいんだよぉっ! こういうのは、気持ちが大事なんだよっ!」
「そうかなぁ、、、。」
「う〜ん、、、、、。」

 夜の工房の食堂に、3人の声が響いていた。
 そろそろ、日付も変わろうかという時刻だ。

「じゃぁ、盛り上がって来た所で、そろそろ行ってみようかぁ!」
「だから、盛り上がってないって。」
「そうそう(笑)。」


  「じゃあ、最初はお前だっ!
   麝弐猪っ!
   お前の自慢の、ボタン を見せてくれよ!」


 麝弐猪が恥かしそうに取り出したのは、
 何処にでもありそうな、
 ごく普通の ボタン だった。


  「僕の、自慢の、、、というか、
   大切な ボタン は、、、 コレ です。」

  「う〜? なんだぁ?
   ふつーのボタンじゃねぇかよぉ?」
  「そうだねぇ、普通のボタンに見えるね。」
  「何処が、自慢 なんだよぉ?」

  「うん、前の学校の時、先輩に貰ったんです。
   大事な思い出なんです。
   素敵な先輩だったんです。」

「なんだか、パッとしねぇボタンだなぁ〜。」
「そんな事言うなよっ! せっかく貰ったんだぞ! 大事な大事なボタンなんだぞ!」
「そうだよ、それは言い過ぎだよ。
 丸くて、いい色のボタンじゃん、麝弐猪くん。」
「でしょ、でしょ〜。 さすが輝豸雄くん!  良い事言うぅ〜。
 格好良い先輩だったんだぁ〜。」
「う〜、なんかこう、パッ!っとして、
 ドキドキッ っとするボタンは無いのかねぇ?」
「なんだよ〜。 せっかく持ってきたのにさっ!」
「わかった、わかった。ごめんな、麝弐猪!」



「よ〜し、盛り上がって来た所で、次は、輝豸雄だっ!」
                                                   第109回 の その2 に続く