もどる
第105回  工房の お お き な か み ぶ く ろ


「ねぇ、一体この袋の中には何が入っているんだろうね。」
「そうだねぇ〜。 何だろうねぇ?」
「そりゃぁ、輝豸雄! アレだよ,アレに決まってるよ!」
「そうかなぁ〜。
 何とな〜く、アレとは違う気がするんだよなぁ。」
「なんだろうねぇ?」


「それにしても、大きな袋だねぇ。」
「あんまりくま女王さんが沢山買い物をしたんで、
 お店の人がサービスでつけてくれたんだってさ。」
「サ〜ビスぅ?」
「うん、普通の人は、この紙袋もお土産として買っていくんだって。」
「へぇ〜、そうなんだ。」
「一枚 210円らしいよ。」


「あぁ、もしも、この袋いっぱいにバナナが詰まっていたら、
 とっても倖だろうなぁ〜。」
「それだったら、オレは林檎がいいなぁ。」
「あぁ、林檎も捨てがたいね。」
「なに言ってんだよっ! 焼肉っ!焼肉だよ、最強はっ!」
「焼肉は、袋の中には入って無いだろうよぉ。」
「そうかぁ、、、。 残念だな。」
「しかし、、、、、。」
「ん? 何さ。」
「それにしても、でっかい袋だよなぁ〜。」
「そうだよね〜。 大きいよね。」
「いいなぁ、くま女王さんはこんな大きな袋いっぱいお買い物が出来てさ。」
「そうだよねぇ〜。」
ねぇ〜。」


  

「いいなぁ、くま女王さん。」
「いいね、くま女王さん。」
「いいぞ、くま女王さん。」
「いくぞ、くま女王さん。」
「う〜ん、、じゃぁ、 いかん、くま女王さん。」
「そうきたか、じゃぁ、オレは、 いけず、くま女王さん。」
「なんだよ、それ。 いこう!くま女王さん。」
「おっ、きれいだね。 いさき!くま女王さん。」
「いさきって何だよ? いれば!くま女王さん。」
「魚だよっ! いかん!くま女王さん。」
「それさっきオレが言ったぞ〜!」
「し、しまった〜。オレの負けかぁ〜。」
「明日の廊下掃除は輝豸雄なっ、決まりだぜぇ〜。」
「く、くやしぃ〜〜〜。」

子熊たちの他愛も無い会話は、いつ果てるとも無く続いていた。
春から初夏へ、季節は確かに変わろうとしていた。
                                                   第106回に続く