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第99回  工房の お〜い お茶 !

「ただいま〜。」

「あつ、くま旦那さんだ。
 くま旦那さん、お帰りなさい、出張お疲れ様でした。」
「うぃ〜っす、お疲れ〜っす。」
「お疲れ〜でした〜。」
「でしたぁ〜。」
「おっ、元気してたか?
 ちゃんと歯を磨いて寝てたか?」
「もっ、勿論ですよ、くま旦那さん!」
「あったり前だ〜い。」
「だ〜ぃ。」
「ちゃんと、みがいてましたよ、僕達。」
「そっかぁ〜、うんうん、いい子熊にしてたんだな、うんうん、よかったよかった。」






急な用事でくま旦那が出張に出かけたのは、一週間程前のことだった。
新年度が始まったばかりの忙しい時期にくま旦那がいなくなることについて、
輝豸雄達は口々に、
  「くま旦那は仕事がしたくないから、出張をいいれた。」とか、
  「あまりに社会人としての自覚が無さ過ぎる。」
  「後に残された、熊達のことを考えていない。」
  「一人で一週間京都に出張なんて、人道的に許せない。」
  「御土産は、生八橋だけは勘弁。」
  「いや、生八橋こそが最強。」
  「とん八の旦那さんによろしく。」 
などと、くま旦那に対して文句を言ったものだが、
結局は、輝豸雄達にお土産を買ってくる、ということで、決着がついた。
  「お前達、一体何が欲しいんだい?
   やっぱり、生八橋かい?。」
  「ヤダなぁ、くま旦那さん、生八橋なんて買って来たら、
   くま女王さまにお願いして ボコボコにしてもらいますよ。」
  「・・・・・・・・・・・。 はい、それでは何がお望みでしょうか?みなさま。」


暫くの間、4頭で、ああでもない、こうでもないと、
お土産について話し合っていた輝豸雄達だったが
最終的に、 「 お茶 」 が欲しいという事になった。
「えへへ、きょうとといえば、おちゃ ということで くま旦那さん、おねがいしますね。」
4頭を代表して麝弐猪がいった。
「お茶かぁ、、、。渋いなお前達。
 何か希望の銘柄はあるのかい?」
「細かいことは、くま旦那に任せるぜっ!」
「ぜっ!」
「ぼ、ぼくは、、、。」  輝豸雄がすまなそうに手を上げた。






「で、良い出物はありましたか?」
「もちろんだよ。
 お前たちのために一生懸命買ってきたよ。 はい、 お土産。」
「わ〜い。」
 「わ〜い。」
  「わ〜い。」
   「わ〜ぃ。」
「でも、輝豸雄、お前、本当にこれでよかったのかい?」
「勿論ですよ、くま旦那さんっ!」

   

お茶といったら、 ” うめこんぶ茶 ” 。

それ以外考えられない輝豸雄だった。

                                                   第100回に続く