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第96回  工房の プラネテス   その2 〜いま、僕たちに出来る事〜

「博士っ、お願いします。友達が、
 友達が死にそうなんです。
 今すぐ宇宙に行かないといけないんです。」


「はぁ? どうしたんだい輝豸雄君。」
「人工衛星が、事故に、、、」
    「友達がそれに、、、」
        「連絡がなくて、、、」


輝豸雄達は交互に事情を話し始めた。


「輝豸雄君、、、。
 前にも話したかも知れないが、此処には君たちを宇宙に運んであげる船は無いんだよ。」
「わかっています、
 でも、でも、ここしか頼る処が無いんです。」
「そうは云ってもねぇ、、、、。」
「・・・・・・・・・。
   「・・・・・・・・・・・。」
       「・・・・・・・・・・・・。」


輝豸雄達3人の瞳は真剣そのものだった。


「よし、、、。皆で倉庫を探してみよう。
 何かいい物が見つかるかもしれないしな。」
「はいっ! ありがとうございます。」
   「しますっ!」
       「っますっ!」




「博士っ! これは何ですか?」
最初にそれを見つけたのは、輝豸雄だった。


  

「おぉ! こんな処にあったのか!」
「博士、これは?」
「小型の宇宙船だよ。
 一人乗り用だけど、性能はいいんだよ。」
「じゃぁ、これで宇宙に!」
「無理だよ、輝豸雄君。」
「えっ、どうしてですか?」
「これは大人用なんだよ。輝豸雄君が乗っても、足が届かないよ。」


輝豸雄は、自分の足を観た。
確かに、届きそうもない。
自分の短い足が恨めしかった。


 ” もう、これまでか、、、、、 ” 輝豸雄達が諦めようとした時、倉庫の入り口から声がした。


輝豸雄っ! お前はこんな処で諦めるのかっ!
 俺の知っている輝豸雄は、こんな事じゃぁ決して諦めないヤツだったぜ。


                                                   第97回に続く