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第83回  工房の 相談したい幾つかの出来事

「せんせい。」
「なあに? 輝豸雄くん。」

輝豸雄は、頬を赤らめながら、思い切って話しはじめた。

「せんせい、ぼく、、、、。」
「  ?  」
「ぼ、ぼく、胸がドキドキするんです。  今までにないくらいに。」
「それで?」
「じ〜っと観ていると、クラクラしちゃうんです。」
「 !  」
「こ、声を出そうとしても、なんていうか、上手く喋れないんです。」
「どうして?」
「咽喉の奥に、、、声が引篭っちゃう様な、不思議な感覚なんです。」
「うふ。」
「せんせい、ぼく、いったいどうしちゃったんでしょうか?」



    先生は、輝豸雄の顔を見ると、にっこり微笑んで 話し始めた。



「輝豸雄くん、それは 《 恋 》 よ。」
「輝豸雄くんは、今、恋をしているのよ。」
「えっ、せんせい、、、でも、、、。」
「初めての恋をしてるのよ。」
「、、、、、。」
「恋は 初めて? 輝豸雄くん?」


    

    輝豸雄は、天井を見上げた。



”そうかぁ、これが 恋 なのか、、、、。” 輝豸雄は独り考えた。



”でも、どうして体温が42度もあるんだろう?平熱は35度5分なのに、、?”
”恋って、全身が震えるほど 寒気がするものなんだ。”
”恋って不思議だな” 輝豸雄は朦朧とする意識の中で、恋に悩んでいた。

                                                   第84回に続く