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第81回 工房の 新年の大準備
或る年の瀬の事だった。
工房の一室から賑やかな声が聞こえていた。
「こ、こんな感じでいいかな?」
「良いんじゃない!」
「いいよ、いいよ!」
「でも、輝豸雄ぉ〜。
お前いったい何時 習字なんて覚えたんだぃ?」
「実は僕、熊手流書道の師範やってたんだ。」
「凄いな、お前。」
「すごいよ、すごいよ〜輝豸雄くん〜」
「じゃぁ、あと、149枚よろしくね。」
「えっ、そんなにあるの?」
「まぁ、くま旦那も、年内に出せればいいって言ってたし、ゆっくり頑張ろうぜっ!」
「はぁ〜〜。 そんなにあるのかぁ〜〜。」
輝豸雄達の決死の作業が終わったのは、暮れも押し迫った大晦日だった。
第82回に続く