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第69回  工房の 花売り娘たち

 すみませ〜ん、花を、花を買っていただけませんか?

或る日の午後、輝豸雄達3人は、2人の少女に声をかけられた。

 花を、花を買ってください。
 だめなら、この食べ掛けの林檎を買ってください。
 私たち、お腹がすいているんです。

   

   ”りっ、りんごだぁ〜”
   ”どうする?輝豸雄ぉ〜?”
   ”そうだなぁ、、、。うーん”

輝豸雄は少し考えた。
お腹のすいた可哀相な少女たちを何とかしてやりたい気持ちはやまやまだったが、
輝豸雄は言った。

 ”さようなら、お嬢さん方、また何時か何処かでお会いましょう。”




   ”どうしたんだよ、何時もの輝豸雄らしくないじゃないかよぉ”
   ”そうだよ、美味しそうな林檎だったのにぃ”
   ”でも、でも、”
   ”でもなんだよぉ”
   ”くま旦那がね、言っていたんだよぉ”
   ”なんだよぉ”
   ”以前、くま旦那がね、
   『パンツを見せて物を売っているお姉さんから物を買っちゃぁいけないよ』
    っていってたのを思い出したんだよ。”
   ”?”
   ”くま旦那は、それで酷い目にあったんだってさ。”
   ”どんな目にあったんだろうね。輝豸雄は知ってるの?”
   ”いや、そこまでは聞いてないけどさ、
    とにかく、凄く酷い目に合ったんだって。”
   ”そうかぁ、、、、、。”




以前、くま旦那があった《凄く酷い目》について
もちろん輝豸雄は聴いて知っていたのだが、
誰にも話すつもりは無かった。
それほど 凄くて 凄い目 だったのだ。

                                                   第70回に続く