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第66回  工房の 中間管理職の哀しみ

それは、輝豸雄にとって、まさに青天の霹靂であった。

「あのぉ〜。」
「何だね。」
「あのぉ〜、輝豸雄課長ぅ〜、あのですねぇ〜。」
「なんだね、もっとはっきり言いなさい。」
「あのですねェ〜。」

   

「モジモジしてないで、はっきり言いなさいっ!」

「あのォ〜、アタシ、出来ちゃったみたいなんですぅ〜。」
「うっ!なっっ」
「ですからぁ〜、出来ちゃったみたいなんですゥ〜。」
「だっ、だっ、だから!なっ何がっ?」
「課長ぅ〜、そんなに大きな声出さないで下さいよォ〜、嫌ですよォ〜、
 解っている癖にぃ〜。」
「うっ。(何だろう?)」
「だからぁ、アタシ出来ちゃったんです、昨日の伝票整理がぁ〜。
 スゴイでしょぅ〜(笑)。」
「・・・・・・、」
「課長ぅ〜、スゴイって言ってくださいよぉ〜。」
輝豸雄は、深く深呼吸をした。  そして、漸く言葉を搾り出した。
「わかった、わかったから。
 じゃぁ、次はこっちの伝票の整理をやってね。」
「は〜い、はいはい。わっかりました〜。」
「返事は1回で良いからね。」
「は〜い、わっかりました〜です。」

「ふぅ、、、、、。」
輝豸雄は、深い哀しみと苛立ちの中にいた。
「全く、最近の若いOLってヤツは、・・・・・・・・・」
輝豸雄の呟きは、何時果てることなく続いていた。



                                                   第67回に続く