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第15回  工房の深い後悔

誰にだって、後悔はある。
後になって、「如何してあんな事を、、、」と思い、
眠れぬ夜を過ごし、
      枕を涙で濡らすのだ。


最初は、ほんの軽い気持ちだった。
遊びだったと言ってもいいだろう。

  「てでおちゃんって、可愛いわよねぇ〜。」
  「てへへ。」
  「まだ、ちっちゃいのにしっかりしてるわよねぇ〜。」
  「えへへ。」
  「食べちゃいたいくらいだわ〜。」
  「でれでれ。」
  「女の子みたいに可愛いわよねぇ〜。」
  「うふふ。」
  「あっ、そうだ。これ着てみない?似合うわよ〜。」
  「でへへ、、、えっ?」
  「は〜い、こっちにいらっしゃいな。」
  「あっ、うっ、そ、そのぉ〜」
  「恥しがらなくてもいいからね!」「はいっ、御本も持って。」

     
     輝豸雄、初めてのワンピース姿だった。
  
  「きゃあぁ、かっわぁいぃいぃわあぁ〜。」
  「あ、う、の、も、う、い、ぃ、かしら、、、。」
  「写真撮るわよぉ〜、はい!こっち観て!」 パチリ!
  「あうぅ、あうぅ、、、。」


翌日、焼き回しされた写真が輝豸雄の元に届けられた。
ほんの、本当にほんの一瞬だけでも
     「あっ、可愛いじゃん!」
と思ってしまった自分が、輝豸雄は許せなかった。

それに、
あんなにスース-する着物はもう着たくない、輝豸雄は心の底からそう思った。
                                                   第16回に続く