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Dollとは直接関係無いのですが・・・

最近夏になると『新潮文庫の100冊』っていう企画、本屋さんでやっていますよね
あれを見るたびに、自分で『人に読んで欲しい100冊』選ぶとしたらどれかなって考えたりします
というわけで現在進行形でラインナップ、これが意外と楽しい作業です(ネットがなかったらすさまじく大変だろうけど)
100冊目指してスタート、思いつくまま、順不同です
それにしても偏ってるなぁ・・・自分の読書傾向に失笑
これ読んだ順に並べることが出来たら、まさにくま女王形成過程バウムクーヘンだね

タイトル 作者 お薦めポイント
30 ちいさいおうち V・L・バートン 初めはディズニーの絵本で、後にバージニア・リー・バートン自身の絵本で、何度も読んだ大好きなお話です。プレゼント用にも随分買ったので、もしかしたらもっとも冊数を買った本かも知れません。私の住居観の根底に、しっかりこの本があるような気がします。それなのに現実は・・・(笑)
29 ワンプのほし ビル・ピート ワンプの住むきれいで平和な星に、バッチイ星人が突然やって来ると、ものすごい勢いで建設工事が始まって・・・。今でいうエコロジカルな視点のお話なのですが、ワンプという生き物や星の様子が、お話と絵でやさしく綴られていて、押しつけがましいところのない楽しい絵本です。ラストも素敵で余韻があり、今でも大型クレーンが立ち並ぶ工事現場や高速道路の立体交差などで、ふと思い出すことがあります。
28 かいじゅうたちのいるところ M・センダック 子供の頃はそんなに好きな本、という意識はなかったのですが、大人になっても折に触れて思い出す心に残る一冊です。なんかわかんないけどおもしろい、ちょっと怖いけどでもじっとみちゃう、そんな本です。理解できる物や好きな物以外は認めない、という人が増えているようにも見受けられますが、分からないなりに受け止めてみる、という所から始まる人生の楽しみもあるように思える今日この頃。「いるいるおばけがすんでいる」という別訳も過去にあったそうで、いつか読んでみたいなぁ。
27 複合汚染 有吉佐和子 初めて読んだルポルタージュ的な作品、いわゆる「社会問題」に目が向いた最初のきっかけだったように思います。現在のエコロジーブーム(といってもいいのかな)に続く、ルーツ的なものかも。もちろん他の小説も面白いのですが、なんかこの本インパクと強かったんですよね。
26 東京に原発を 広瀬隆 これに書かれていることがすべて真実だと頭から信じているわけではありませんが、そういう部分も含めて当時これを読むことが自分にとって良い訓練だったように思えます。政府やマスコミが公言していることや、常識といわれていることに対しても、いろいろな視点や受け止め方があってもいいんじゃないかと思います。皆さんはどうですか。
25 聡明な女は料理がうまい 桐島洋子 最近はお子さん達の方がご活躍のようですね。正直なところ作者自身の生き方には、全く興味も関心もないのですが、この本に書いてある料理(と家事)に対するスタンスが、ものすごく面白くて、とても影響を受けているように思います。基本的iにはフェミニスト(毀誉褒貶の激しい危険なワードですが)なくま女王の、若かりし頃の愛読書の一つです。
24 鷲は舞い降りた ジャック・ヒギンズ とてもよくできた冒険小説、というのでしょうか。ハラハラドキドキの展開と、鮮やかなラストは本当に一級品です。手に汗握って読んだ本です。余分な解説不要のおもしろさです。
23 白い国籍のスパイ J・M・.ジンメル 同じ第2次世界大戦物で、冒険小説ですがこちらはどちらかというとB級グルメというかんじでしょうか。華麗でスピーディではあるのですが、まあばかばかしいおもしろさとでもいいますか。ピンチを料理で切り抜けるスパイという設定だけで、お察し頂けましょう。
22 暗号機エニグマへの挑戦 ロバート・ハリス 上の2冊とは正反対で暗い空と冷たい風に塗り込められたような鬱々とした作品ですが、面白いんです。元々暗号物好きなのですが、決して自分で解読してやろうというタイプの読者ではなく、暗号を解いていく過程の論理的な思考とひらめきを楽しむ方なので、まさにというかんじです。
21 剣客商売 池波正太郎 「鬼平犯科帳」「仕掛人・藤枝梅安」など、いわゆる時代物はどれも面白く、甲乙つけがたいのですが、導入部分の鮮やかさで「剣客商売」に軍配を揚げました。よく言われる池波作品の食べ物エピソードはまさに魅力的で、涎ものです。小説を原作とする映像作品には点が辛いくま女王も、時代劇だけは別で、池波作品はテレビや舞台もすごく好き。「鬼平」シリーズはどれも味があって良いですが、やはり当代の吉衛門のシリーズが一番(合掌江戸家猫八)、「剣客商売」の秋山小兵衛は中村又五郎(合掌)しかありえません。
20 御宿かわせみ 平岩弓枝 こちらはむしろテレビ時代劇から入った作品、NHK水曜時代劇(小野寺昭、真野響子版)がすり込まれていて、それ以外のキャスティングは受け付けられません。捕り物というと銭形平次のような岡っ引きを主人公にした物がイメージですが、「御宿かわせみ」はその辺の設定に味があり、武士と町人の視点が交錯するところにおもしろさを感じさせます。江戸時代という漠然とした時代設定ではなく、ゆったりと確実に時が流れていくのも特徴で、続きが楽しみな作品です。
19 用心棒日月抄 藤沢周平 作品数も多く、またメジャーな映像作品も多いのでよく知られている作家さんですが、読んで楽しい時代小説(うーん、歴史小説ではないよな)として、時代小説初心者にもお勧めしたいのがこのシリーズです。「腕におぼえあり」のタイトルでテレビシリーズ化されていますが、キャスティングがすばらしく、ものすごく楽しめます。
18 小さい魔女 O・プロイスラー 人生でもっとも回数多く読み返した本です。それこそ子供の頃は飽きもせず何度も何度も、親にもあきれられるほど読みました。大人になると時間がもったいないのと(次に読みたい本がたくさん控えているので)、そこまでの本に中々巡り会えないこともあり、三度読み返すことも希ですが、子供の頃に大好きな本を何度も読むというのはとても貴重な経験だったように思われます。私の魔女やファンタジー観の根っこはかなりここです。他にも有名な「大どろぼうホッツェンプロッツ」シリーズや「小さい水の精」等も楽しい本です。是非小さなお子様に。
17 ふんわり王女 G・マクドナルド 作品数も多く古典ファンタジーの大作家といっても良いと思うのですが、本屋にあまり並んでいないせいか、メジャー度はやや低いように思えて残念です。代表作は「北風のうしろの国」ですが、私はこの「ふんわり王女」(「かるいお姫さま」という訳本もあるそうです)を読んだ時の透徹した悲しみのような感覚が忘れられません。ファンタジー文学の魅力の一つにある種の「残酷さ」があるように思えます。それは現実世界の残酷さと全く違う形、無垢とか運命(さだめ)とか、大切な物を一つだけ選ぶとか、そんな形で読み手の心に刺さってくるようです。
16 やかまし村の子どもち A・リンドグレーン いわずと知れた「長くつ下のピッピ」シリーズの作者、スエーデンの作家のため日本語に翻訳できる人が限られ中々出版が進まないという訳者後書きを読んで、そんな仕事をしてみたいと思ったのが,子供の頃のなりたい職業を意識した第一号だったように思います。「やかまし村」シリーズは大人になって読み返すとまた、味わい深い物があります。
15 嗤う伊右衛門 京極夏彦 百鬼夜行シリーズも巷説百物語シリーズも、どすこいも、すべての作品が好き。待って待って(じゃあ買えよ)、やっと手にとって、ずっしりとした重さを感じながら最初の数ページを読み出すともう、何時までも読み終わらないといいのにと思えてくる、そんな作家です。欠点といえば通勤のお供に向かないことくらいか・・・。「憑物落し」という概念が新鮮でした。最初に一冊読むならこれがお勧めかな。
14 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 村上春樹 メジャーな割にあまり読んでいない作家ながら、この一冊は(正確には上下2冊だけど)凄く面白く、持つべきものは読書友達(この本面白かったですよ、と貸してくれる友人たち、皆様のおかげで日々とても充実しています、大感謝)です。当然といえば当然ながら慣れ親しんだ海外翻訳小説の文体と近いので、時々錯覚してしまい、都内の地名が出てくるたびに逆にあれっと思ったり(笑)。ネット社会が進むにつれ、記憶や自我、生命、情報の並列化といったことを考える機会が増えているような気がします。
13 重力ピエロ 伊坂幸太郎 衝撃度でいえば「オーデュポンの祈り」、娯楽性でいえば「陽気なギャングが地球を回す」、完成度でいえば「死神の精度」かなとは思うのですが、キャラクターと読後感でこれをお勧め。伊坂ワールド全体では黒澤さん一押しです。
12 デューン 砂の惑星 フランク・ハーバート ものすごーく長いSFシリーズの第1部ですが、正直この「砂の惑星シリーズ全4巻」さえ読めば充分、映像作品も私的には不要です。世界観の形成という意味で、第一級の作品だと思います。1965年に、環境、生態、惑星改造という内容をあれだけ鮮やかに描いているのも凄いけど、ストーリーもとても面白いです.是非夏に読んで下さい、水一滴無駄に出来なくなりますよ。ベネ・ゲゼリットは今でも憧れの職業(?)です。
11 アンバーの九王子 ロジャー・ゼラズニィ 真世界アンバーシリーズの第1巻、「混沌の宮廷」まで5冊翻訳されているので、是非。アシモフやハインラインといった古典的なSFに対し、ニューウェーブといわれる作家です。特にこの作品はSFとファンタジーの融合度が高く、その両ジャンルを偏読していたくま女王にとっては、夢中になれる作品でした。初めて書評を書こうとして挫折した懐かしいタイトルでもあります(笑)
10 闇の左手 A・K・ル・グウィン もちろん代表作「ゲド戦記」シリーズ、大好きですしとってもお勧めですよ、でもね、それを上回る勢いで、私にとって「闇の左手」は大傑作なわけですよ。SFにとってもっとも大切なことは、先鋭的な科学考証でもなければ、派手な宇宙戦闘でもなく「センスオブワンダー」だと思うんです。この話にはそんな日頃の常識を内臓からくつがえされる様な感覚が詰まっていて、引き込まれます。
風の万里 黎明の空 小野不由美 ジオラマ願望の強いくま女王としてはこの世界観はめちゃめちゃツボでして。しかも中国神話ベースに長髪の男性キャラ、と抜けられないんじゃないかと思うほどと゜っぷりはまりました。「12国記シリーズ」はもちろん最初から順番に全部読んで欲しいのですが、一番好きなのはこれ、ということで。他にも「屍鬼」はホラー嫌いの私も夢中で読んだ一品、一時期「森」恐怖症でした。
光の帝国 常野物語 恩田陸 作家と呼ばれるような人はたいてい一般人より本好きなんでしょうが、なかでも特に恩田陸さんはそういうニオイがする気がします。書店員が投票する本屋大賞もらっているのもその辺なのかななんて思ったりも。この人の本は面白いものが多いけど、これは別格、浄水器のフィルターのように読むと心の中の不純物がきれいになるような気がします。「六番目の小夜子」を読んで吉祥天女(吉田秋生)を連想したのは私だけ?「三月は深き紅の淵を」も好き。
すべてはFになる 森博嗣 (元)某国立大学の工学部助教授(建築専攻)で密室ミステリィって反則なんじゃないの、という気もします(笑)。私にとっては近年まれに見る傑作なのですが、とても読む人を選ぶ本のようで、薦めた場合のリアクションも両極端です。それでもあえてチャレンジという方は、必ずここからスタートして、シリーズを順番に読まれることをお薦めします。読後、年表をたどりながら再読というメビウスの輪にはまったら、ぜひお知らせください。私的には「スカイクロラ」より断然こっちです。
われはロボット アイザック・アシモフ ロボット三原則をベースにしたロジカルなストーリーが、気持ちいいです。アシモフという作家は、SF作品や他の著作等を通して、SFという枠組みをきちんと提示してくれた人だと思う。立派な古典世界があるから、その後のニューウェーブが花開くんですよね。何事も基本は大事だよ、うんうん。アシモフの作品はアタリハズレがなくどれもお薦め、ほんと全部読んで欲しいです。歴史に一方ならぬ思い入れのある私としては「銀河帝国の興亡」は衝撃的だったし、「夜来る」に代表される短編たちもアイデア満点だし、「黒後家蜘蛛の会」なんかも楽しめるよねぇ。要するに凄く好きな作家だってことなんだなぁ、しみじみ。
夏への扉 R・A・ハインライン SF書こうとして最初に思いつくようなことは、すべてハインラインがもう書いていると 言われる程、バラエティに富んだ作品を多数残している作家。主に未来的なことを扱うSFといえど、書き手の時代性からは逃れられないもので、「夏扉」も古きよきアメリカを感じる読後感の良い一冊です。ちなみに、一番のお薦めは「夏への扉」なのですが、一番面白かったのは「愛に時間を」、一番好きなのは「異星の客」です。
アルジャーノンに花束を ダニエル・キイス これ読まないで死んだらもったいないと思う、という本のうちの一つ。あと、これ読んで泣かない人とは友達になれないと思う、というのもあながち冗談じゃないかも。攻殻機動隊のTVアニメの中でタチコマが読んでたよね、生命とか自我とかについて、たまに考えてみるのもいいんじゃないか、とも思う。
猿丸幻視行 井沢元彦 歴史、暗号、ミステリーという好きな要素が満載の一冊、これが事実上のデビュー作というのがすごい。高校時代位にこれを読んでいたら、歴史に興味持てたかもとは、くま旦那の言。「逆説の日本史」シリーズも、凄く挑戦的な視点で面白いのでお薦めなのですが、あくまでも正史を押さえてから、いきなり変化球は肘を痛めますよ(笑)
炎立つ 高橋克彦 東北の僻地生まれのくま女王は、日本史における疎外感、どうせ蝦夷には関係ないやい、的なものを感じていたのですが、「炎立つ」からの一連のシリーズを読むと、胸熱くなる思いがします。出来れば三部作すべてごらんあれ。初期の伝奇的作品「竜の棺」「星封陣」「総門谷」も夢中になって読んだ時期ありました。キリストの墓は日本にあったとか、三角錐の山は実は隠されたピラミッドだとか、そういう「ムー」っぽいものって、けっこう嫌いじゃないんですよ。実際竜角寺の縁起なんか読むと、わくわくしますよ。
コンスタンチノープルの陥落 塩野七生 この本があまりに面白かったので、実際イスタンブールに行って城壁や砦などをめぐってみました、いやまじで。塩野さんの作品はどの話も骨太で面白いんですよね。史実を基にした本格的なイタリア物も面白いですが、「緋色のヴェネツィア 聖マルコ殺人事件」シリーズの軽いミステリー仕立てもうまいってかんじです。



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