音声実験


 1996年2月14日、実験中に音楽を流していたテープレコーダから妙な雑音が聞こえはじめた。テープレコーダが壊れたのかと思っているグループに、スピリットチームは「これは新しい形の通信の試みだ」と伝えてきた。音量を下げるように、との指示のもとにロビンが調節つまみを回したところ、奇妙なことに雑音の音量は変わらない。そうするうちに、その雑音はだんだんと言葉になってきた。
 最初の実験では何をいっているのかよくわからなかったが、音質は何か月かかけてだんだんと改善され、ついには双方向の会話が完全に成り立つようになったという。
 ドイツから調査団が訪れたとき、さっそくこの現象のデモンストレーションが行われた。音楽の中に雑音が混ざりだすと、例によってグループはその音量を0に下げる。少しすると、音量を0にしたはずのテープレコーダから大きく鮮明な女性の声が、調査団に向かってドイツ語で「こんばんは」と話しかけたのだ!
 しかし、これはスピリットチームによる音声実験のほんの手始めでしかなかった。チームは音声実験のさらなる発展のために、電子工学の専門家であるSPRのアーサー教授に向かっていろいろな指示を送ってきた。
 だが、指示に従って機械を組み立てようとしたアーサー教授は、その回路があまりに旧式だったために当惑した。そこでチームに、ゲルマニウム整流器をシリコンダイオードと換えてはだめなのかと聞いたところ、次の答えが返ってきたのである。

「この回路の中のゲルマニウムは、整流器として使っているのではない。ゲルマニウムには、霊的な癒しを助ける特徴がある。それこそが必要なのだ」

 この回路からホワイトノイズのような音が聞こえてきたのは、1997年1月、天体物理学の教授バーナード・カーがゲストにきているときのことだ。この現象はアーサーとバーナードの興味を大いにかきたてた。なぜなら、通常の電子工学、物理の知識で判断する限り、その回路からこのときほどの音が生まれるはずはなかったからだ。
 スピリットチームは、音声実験はまだ準備段階にあるが、すぐにはっきりした声を届けられるだろうと強調した。そして、さらに奇妙なこともつけ加えてきた。以前のテープレコーダーを用いた方法で交信できるのは地球の次元に近い世界にいる存在だけで、より遠い世界の存在たちと話すには、これから作ろうとしているこのゲルマニウム受容器が必要なのだ、というのである。


 1997年1月11日の実験では、スピリットチームはゲルマニウム受容器を作るのに役立つ回路図と簡単な説明をフィルムに写しだした。アーサーたち科学者にとっては、これがまた意味不明の回路図だった。

 コイルは確かにアンテナのように働くが、この回路図では隣にあるコイルがその効果を打ち消してしまう。つまり、何かの信号を強めるというよりは、むしろ弱める回路なのだ。その疑問についてチームは次のように説明している。

「この並列のコイルによってできるエネルギーの場は、電磁場と同じようにお互いに打ち消し合い、結果として中間に『ヴォイド=スピンのないエネルギー空間』を生みだす。この空間では、エネルギーの揺らぎを見つけ、吸収することが可能だ。そこにゲルマニウムを置くことによって、より遠い次元とのリンクが開く。ヴォイドをほかの次元への扉とするなら、ゲルマニウムはその扉の鍵だと思ってよい」

 1月11日の実験のときから、スピリットチームは「トーマス」と名乗る存在が、この回路を通じてグループと話したがっているといっていた。トーマスはスピリットチームのいる次元とは交信できるのだが、この地球までは、通常は交信できないらしい。アーサーが回路図とその説明に従ってゲルマニウム受容器を作ると、1月21日、さっそくその装置からトーマスが交信してきた。
 この日、ホワイトノイズとともにカチカチいう音が、初めて装置から聞こえはじめた。そして、装置につながれたスピーカーに聞き耳を立てているグループの耳に、突然「ハロー」というか細い声が聞こえたのだ。
 その男性の声はだんだんと強くなり「ハロー、聞こえますか?」と繰り返している。その後、交信状態はほぼ安定し、声は次のことを伝えてきた。

「この送信がそちら側できれいに聞こえることを祈りながら続けます。……われわれは、今こうして使っているこの交信システムを長い間実験してきました。……こちらには私と同様に、この仕事が人類にとっていちばん重要なものであることを感じ、実験にすべてを注いでいる人たちが大勢います。
 ありがとう、皆さん。私たちの実験に協力し、この瞬間を一緒に分かち合ってくれてありがとう。
 皆さんに平和が訪れますように。神のご加護あれ」

 このときの通信は途切れ途切れに約20分間続き、そのすべてがテープに録音された。
 またひとつ、劇的な進歩を遂げたグループの中で、今回の通信はトーマス・エジソンからではないかとの声が上がった。この考えが浮かんだ背景には、フィルムの右端に書かれたサインがある。
 サインは「TAE」と読める。エジソンのフルネームは、トーマス・アルバ・エジソン、まさにTAEではないか。エジソンは晩年、霊と交信できることを信じて霊界通信機を作ろうとしていたのは有名な話だ。
 SPRのモンタギューはこのサインを調べるために、アメリカのニュージャージーにあるエジソン国立歴史記念館まで足を運んだ。図はそこで得られた1925年の手紙の写しだ。サインは確かによく似ている。スピリットチームの陰で音声実験を指揮していたのは、やはりエジソンだったのか?
 実際に作り上げたゲルマニウム受容器の回路図。



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