電気の森 The Forest Of Electric + Electronic Technorogy by Otoshibumi Craft Lab [Official] [2000]

 

電気工事編 DKE-013

コンクリート埋込専用電線管(CD管)の特徴

Ver.2.2 (Preview Version)  2000/04/12版

to Denko


 このコンテンツでは、コンクリート埋込専用電線管(CD管)の特徴について説明します。コンクリート埋込専用電線管(CD管)は、以下の特徴により、配管作業の大幅な省力化ができます。工期が短縮する傾向があり、配管工事の熟練技術者の不足する中、利用度が大きくなっています。




 コンクリート埋込専用電線管(CD管)の長所
  
         

 材質からいえること
 
 
材質が絶縁体(非導電体)であるために接地工事を必要としない。
 
 コンクリート埋込専用電線管(CD管)の材料であるポリエチレンは、絶縁体(非導電体)です。導電体である金属管工事のように管に接地を行う必要がありません。

 
 コンクリート埋込専用電線管(CD管)に接続するボックス類も合成樹脂製のものを使うと、より、配線の絶縁性を保つことができます。
 金属製のボックスを用いると、使用電圧が300V以下の場合、D種接地工事が必要になります。(ただし、1、乾燥した場所に施設する場合、2、屋内配線の対地電圧が150V以下の場合において、人が容易にふれるおそれがないように施設する場合はD種接地工事は省略できます。)
 また、使用電圧が300Vを越える場合、C種接地工事が必要になります。(ただし、人がふれるおそれがないように施設する場合は、D種接地工事によることができます。)

[参考] 
[内線規程JEAC 8001-1995] 415−8 接地 第1項、第2項
[参考] [電気設備技術基準・解釈 H9 H10 H11]
                   第177条 合成樹脂管工事 第3項第四号、第五号


 
電気的不平衡を考慮する必要がない。
 
 合成樹脂は、非磁性体です。よって、電気的不平衡を考慮する必要がなくなります。

 
結露が発生しにくい。
 
 合成樹脂製のものの化学的な特性です。金属管に比べ、結露が発生しにくいのです。

 
寒冷地において、施工性の良さは変わらない。
 
研究中!

 
衝撃圧縮に強い、復元性がある。

 
研究中!

 
温度変化による伸び縮みが少ない。

 
研究中!

 

 構造的な工夫からいえること
 
 
可とう性がある。
 
 曲げやすいと言う意味です。手で簡単に曲げることができます。複雑で、狭い場所で自由な管の形状を作れることができ、簡単に施工できます。

 
 曲げすぎには注意が必要です。合成樹脂管配線では、管を曲げることについて、法的な制約があります。以下のことに注意するとともに、現場での通線作業を容易にする工夫が必要です。

 「管の曲げる場合、その内側の半径は、管内径の6倍以上とすること。」

[参考] [内線規程JEAC 8001-1995] 415−5 配管 第2項 C
[参考] [内線規程JEAC 8001-1995] 410−8 管の屈曲 第1項

 
 曲げる回数にも注意してください。直角又はこれに近い屈曲箇所は3カ所までです。

 「アウトレットボックス間又はその他の電線引き入れ口を備える器具の間の電線管は、3箇所を越える直角又はこれに近い屈曲箇所を設けてはならない。」
 「屈曲箇所が多い場合は、プルボックスを設置するのがよい。」

[参考] [内線規程JEAC 8001-1995] 415−5 配管 第2項 C
[参考] 
[内線規程JEAC 8001-1995] 410−8 管の屈曲 第2項

 
長尺である。
 
 可とう性があるために、電線管を把巻にすることができます。呼び22までの管が50m、呼び28以上は30mで把巻にされ製品化されています。

 
 長尺である利点は、管相互の接続が減ると言うことです。附属品であるカップリングを減らすことができ、さらに、その作業をする必要がなくなるのです。

 

 電線管の長さ(こう長)には、制限があります。「30m以下」です。長尺である利点をそのまま受け入れる訳にはいかないようです。あまりにも長い場合、通線作業が大変です。

 「管のこう長が30mを越える場合は、プルボックスを設置するのがよい。」

[参考] 
[内線規程JEAC 8001-1995] 415−5 配管 第2項 C
[参考] 
[内線規程JEAC 8001-1995] 410−8 管の屈曲 第2項[注]

 

軽量である。
 
 合成樹脂は、金属に比べ軽い材質です。さらに、コンクリート埋込専用電線管(CD管)は、構造的な工夫によって軽く作られています。

 
 その利点は、何よりも、運搬がラクだと言うことです。

 
切断が容易である。
 
 ナイフで、簡単に切断することができます。手元でできる容易さが作業の省力化につながります。

 
 切断のための特殊な工具を必要としません。騒音はでません。(金属管を電動工具で切断する場合を連想して下さい。)

 
 必要な長さで切断すればいいのですから、短尺な管がでなくなり、無駄がない。

 
 切断は、管軸に対し、直角に行う。(あたりまえですよね。)
 電気用品の技術基準では、CD管の構造について、以下のように記しています。

 「管軸に対して直角に切断した断面が円形であること。」

つまり、管軸に対して、きちんと直角に切断すれば、その断面は円形になるように作られているのです。

[参考] [電気用品の技術基準 H10] 別表第二 1.電線管類
                     (4)合成樹脂製可とう管及びCD管 イ構造(イ)


 
通線作業が楽である。
 
 波付管であるので、構造上、管と電線間で接触面積が小さくなることから、摩擦抵抗が減ります。このため、楽な通線ができるようになります。

 
     


Photo.DKE-013-01

コンクリート埋込専用電線管(CD管)

■ 写真は、松下電工(左)、未来工業(右)のコンクリート埋込専用電線管(CD管)です。

左:松下電工:パナフレキCD、DM 616-R
右:未来工業:ミラフレキ−CD、MFCD-16

(2000/01撮影)



 コンクリート埋込専用電線管(CD管)の短所
 
 

 材質からいえること
 
 
CD管は、ポリエチレン樹脂製で、可燃性である。
CD管は、自己消火性がない。
CD管は、電気用品の技術基準や日本工業規格の「耐燃性試験」に適合していない。
 
 CD管は、ポリエチレン樹脂製の電線管です。一度燃え始めるとずっと炎を出して燃えつづけます。このような物質に対し、燃え始めてもしばらく時間がたつと消える性質を「自己消火性」、又は、「自消性」といいます。つまり、CD管には自己消火性がありません。

 
 合成樹脂製の電線管は、電気用品の技術基準や日本工業規格で「耐燃性試験」が実施されています。これは、「配線は、施設場所の状況及び電圧に応じ、感電又は火災のおそれがないように施設しなければならない。」という電気設備技術基準・省令 第36条の「火災防止」を行うためのものです。CD管は、これらの「耐燃性試験」に適合しない電線管なのです。

 
[参考]
 
[電気用品の技術基準 H10] 別表第二 1.電線管類
                  (4)合成樹脂製可とう管及びCD管 ト、耐燃性

 
[日本工業規格 JIS C8411-1992] 合成樹脂製可とう電線管 6.7 耐燃性(自己消火性)試験
 [電気設備技術基準・省令 H9 H10 H11]  第36条 配線の感電又は火災の防止

  
CD管は、コンクリートへの埋込をするための専用の電線管である。
 
 CD管は、コンクリートへの埋込専用の電線管です。合成樹脂管配線としてCD管を用いる場合、コンクリートの埋込でしか利用できません。コンクリート埋込でCD管が利用できるのは、自己消火性のない電線管の機能をコンクリートが補ってくれるからです。コンクリートは燃えません。

 
 合成樹脂管配線としてCD管を用いてコンクリートの埋込以外で利用する場合は、「専用の不燃性又は自消性のある難燃性の管又はダクトに収めて施設する」必要があります。これは、「不燃性」、「難燃性(自己消火性)」という性質を電線管に要求していることを意味しています。
 詳しくは、以下のコンテンツを参考にしてください。

  DKE-007 コンクリート埋込専用電線管(CD管)配線の施設場所
 
[参考]
 
[内線規程JEAC 8001-1995] 415−5 配管 第2項 D
 [内線規程JEAC 8001-1995] 400−3 施設場所と配線方法 4-1表 4-2表 [備考](4)
 
[電気設備技術基準・解釈 H9 H10 H11]
               第177条 合成樹脂管工事 第3項第七号


  
 

 構造的な工夫からいえること
 
 
支持点を多くする必要がある。
 
 可とう性があるからです。曲がりやすい。だから、支持も多く必要となります。直線性を重視するならば、硬質ビニル電線管(VE管)を用います。

 
水対策を考慮しなければならない。
 
 管の内部は、波形であるので、水が侵入すると取り除くのが難しく(管が長くなると不可能?)なります。このため、専用のキャップが用意されています。

 
 ボックスやプルボックスと接続する場合に注意が必要です。現在、商品になっているコネクタやカップリングは、波形のくぼみに引っかけるような構造で電線管を固定しています。当然、メーカー側も考慮していると思うのですが、水気の多い場所での対応は考える必要があると思います。

 
[参考]
 
[内線規程JEAC 8001-1995] 415−6 管及び付属品の連結及び支持 第6項 

 
     

 


 Version情報

Ver.2.2 (Preview Version)  2000/04/12版
 PF管については、まとめているときに気づいたことを追加しました。
Ver.2.0 (Preview Version)  2000/04/05版
 CD管については、今年に入り大格闘をしてきました。その意味がなかなかつかめず、MLの方々に大変お世話になり、やっとの事で頭の中が整理できました。MLでお世話になった方々には、本当に感謝です。私の中では山を越えた感じなのです。前バージョンに比べ、相当変更を加えました。
Ver.1.0 (Preview Version)  2000/02/02版
 今回のUpは、コンクリート埋込専用電線管(CD管)の長所だけです。仕事に追われ、コンテンツ作成に時間を割けない毎日、プラス、ついに再発、「じんましん」。私の体が不調を訴えています。近々、短所を加えたUpを予定しています。

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  参考文献

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DKE-017 合成樹脂管を知るための参考文献


 Thank you.....(敬称略、順序不同)

電工師匠 M.Saito、松山哉@千葉、鈴木真樹、古川裕久(sanpow21号)@佐賀、鈴木通之


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