その九(マリオネットの巻/小さなお話し・ぞうとのみ)

湯淺隆

ぞうのともだちは、のみでした。あるひ、ぞうはのみのいえにあそびにいきました。
のみのいえは、すなのいしのなかにありました。
ぞうは、のみのいえがわからなくなってしまったので、
〈こまったなあ。のみくんのいえはどこだろうな〉といいました。
すると、じめんのしたから〈いたい〉と、おおきなこえがしました。
それはのみでした。
のみは〈しかえしをしてやる!〉といって、ぞうをめがけてとんでいきました。
ズシーンといって、ぞうに10メートルのおおきなこぶができました。
ぞうとのみのおおげんかがはじまりました。
けんかがおわって、のみが、ぞうのデベソのうえにのって、〈かったァ〉といいました。
(ゆあさたかし)

〜昭和四十二年/豊中市立蛍池小学校・滝口豊一学級一枚文集「Pu」小さなお話より/後に灰谷健次郎先生著「太陽の子」の中で、「ふうちゃん」が「オジやん」に話す「短話」として使われました〜


その壱拾(マリオネットの巻/コスモスの散歩道)