その壱(綿貫宏介の巻/装幀デザイン)

湯淺 隆

 「ALGO」制作のきっかけは、大阪日本ポルトガル協会から、11月例会の為の贈答用CD制作依頼から始まる。折りしもその頃、7月末日あたり、未だ協会からの依頼以前のある日、マリオ新作のCD「ヱグゾチカ・ドラマチカ」を、神戸の御大・綿貫宏介先生へ謹呈すべく御影に参じ、「次回作には是非ご協力を」と打診すれば、ふたつ返事で力を出そうとの快答。さて、その翌々日には日ポ協会から正式な依頼となり、余りのタイミングのよさに、機は熟した哉やと合点・・・。

 が、問題は時間。逆算すれば、制作期間は3ヵ月、うち40日余りはツアー日程で制作作業は不可能。恥ずかしながら「ヱグゾチカ・ドラマチカ」でネタ切れの感もあるところ、熟した機の追い風のみが帆を孕ませる。あとは覚悟のみ。再考の末、やはり機は熟した哉やと、件の風に吹かれることを決意する。

 8月に入り、正式に綿貫先生に装幀デザインを依頼の為、再び御影へ。その日、綿貫邸での酒宴にて、即座に「ALGO」の銘名を頂戴。そして、早くも約1週間後、装幀デザインが完成。その仕事の迅速さに仰天、才能の差を痛感する・・・。また、その出来ばえに、綿貫ブランドの一端を担う意義を深く再認識する。

 さて、特上別格の器は出来た。あとは、中身だ。


その弐(新井英一の巻/歌)