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1. 学振法
1.1 原理
この方法は、人造黒鉛の格子定数および結晶子の大きさを決定するために、
1963年に日本学術振興会炭素材料代117委員会で制定された方法であり、 詳細については、稲垣、白石らによって紹介されている[1,2,3]。
原理は、未知試料人造黒鉛に対して、X線回折用高純度シリコンを10-20%均一混合し、回折パターンを測定し
標準シリコンの回折ピーク位置、半値幅を基準に人造黒鉛の格子定数および結晶サイズを決定するものである。
2003年になって、X線解説装置やコンピュータの進歩に伴う解析精度の向上を考慮して、
筆者がプロファイルフィッティング法による炭素のX線回折データの解析方法を報告したことによって[4],
学振法が見直され、2006年に新学振法として公開された[5,6]。また,2007年には,新学振法をベースにして,JIS
R7651:2007が制定された[7]。本方法については、ここであえて紹介するよりも下記の文献をすべて収集,勉強されることを推奨する。
1.2 解析手順
学振法の解析手順は、基本的に
(1)標準シリコンと未知試料の均一混合
(2)混合試料のX線回折強度測定
(3)測定回折線強度の強度補正
(4)補正回折線強度からのピーク位置、半値幅の決定
(5)ピーク位置、半値幅の補正による格子定数、結晶子サイズの算出
の4つのステップからなる。
参考文献
[1] 稲垣道夫、炭素, No.36(1963)25-34
[2] 白石稔、小林光雄、稲垣道夫、学振資料117-193-B-1
[3] 炭素材料学会、CARBON-X取扱説明書、潟潟Aライズ社 p.29-33
[4] 藤本宏之、炭素 No.206, 2-6(2003)
[5] Norio Iwashita, Chong Rae Park, Hiroyuki Fujimoto, Minoru Shiraishi, Michio Inagaki,
Carbon 42, 701-714(2004)
[6] 日本学術振興会第117委員会、炭素、No.221(2006)52-60
[7] JIS R7651:2007 炭素材料のの格子定数および結晶子の大きさ測定方法

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