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ことばをめぐるひとりごと
その29 カラオケスタジオ ![]() なぜか僕には、ふと思いついてニュース番組をビデオテープに録画しておく癖があります。ある時、古いテープを再生していたら、不思議なニュースに出くわしました。それは1988年12月6日に放送された「NHKナイトニュース」の高松ローカル枠で、
コンテナ改造のスタジオ というのです。「コンテナ改造のスタジオ」とは何ぞや。アナウンサーのことばを引用してみますと、こうなります。
高松市屋島西町の住宅地に、コンテナを改造して作ったカラオケスタジオが出現し、地元の住民が反対していた問題は、住民側の運動が実って、スタジオは撤去されることになりました。 これはまさに、今隆盛を誇るカラオケボックス発祥期のニュースなのですね。「カラオケスタジオ」ということばを聞いても、僕はピンときませんでした。わずか(?)9年ほど前のニュースではありますが、ひどく違和感があるのです。昔は自然に聞き流していたが、今では忘れてしまったことばなのかもしれない。今、「カラオケスタジオ」などと普通に使う人がいるのでしょうかね。
カラオケボックス 709件 該当年・1989〜97年 これを見ると、「カラオケボックス」の語を使った記事が断然多く、ぐっと下がって「カラオケルーム」が次いでいます。「ハウス」「スタジオ」はあまり使われていないことが分かります。でも、滅びたわけではなく、今でも細々と使われてはいるようです。ただ、僕にとっては、この2つはちょっと馴染みがないことばです。88年、ボックス発祥の年には、いずれのことばも記事に使われていないようで、新聞のことばの初出というのは遅いことが分かります。 「スタジオの中を見て、改めて密室だという感じがした。早く気が付いて反対運動をしたのが良かったと思うが、とにかく撤去されることになってほっとしました」
そりゃあ、密室だわなあ。いかにも、当時ならではの反応という気がする。反対署名は2000名分も集まったといいますが、今なら、かえって喜ぶ人が多いんじゃないか? (1997.06.09) 追記 読売テレビの道浦俊彦氏「平成ことば事情 347」によれば、「カラオケ店」という言い方が「最近ニュースで定着しかけている」とのことです。(2001.07.01) |
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