99.05.20
映える12文字 ベタ記事標題
「ベタ記事」というのは『広辞苑』に載っていませんが、要するに、新聞紙面の下方にある一段見出しの記事のことです。
あれを眺めつつ、いつも思うのは、「整理部の人は大変だろうなぁ」ということです。なにしろ、ベタ記事のタイトルは字数がほぼ1行6文字ずつ2行、合計12文字に固定されています。たとえば、今日の朝日新聞を見ると
事故と故障で
JR線乱れる
とか、
事前に買った
社債付け替え
とか、
著作権侵害と
本社など提訴
とか、ほとんど、この字数の勝負です。もっとも、中には
松坂投手の
活躍も話題に (春の園遊会)
と、イレギュラーなものもある。
やはり、ベタ記事のタイトルは、6文字ずつ2行の12文字に限るようです。この字数が、紙面を見たときに一番「映える」とでも言いましょうか。上の園遊会の記事タイトルも、何とかなりませんかね。
時間と競争で作る新聞ですから、指を折りつつタイトルを決めるのも大変だろうと推測します。担当者には、高度な言語感覚が要求されるはずです。
「朝日新聞」の場合、投書欄(「声」)でもこの「12文字タイトル」を堅持しています。「毎日新聞」などでは、字数にはこだわっていないようですが、僕としては不満です。
以前の「朝日」の「声」では、投書のタイトルの字数が多くなる場合は、小字のゴシックにしたりしてごまかして(?)いましたが、いつのころからか、すべての投書のタイトルが平等に12文字となりました。
もっとも、投書の内容によっては、どうしても1行6文字で収まらないものも出てきます。そういうときは、半角カッコを使って、字数を稼ぐこともあるようです。たとえば
「介護保険」に
揺れ動く施設 (1999.05.17 p.5)
のように。別に本文にはカッコ付きの「介護保険」ということばは出てこないので、タイトルの調整のためのカッコだろうと想像するのです。たしかにカッコをつけずに、「介護保険の為 揺れ動く施設」とするのも変だし、また「施設揺さぶる 公的介護保険」とすると、ちょっと投書本文より重いニュアンスになってしまう。カッコで乗り切るしかなかったのでしょう。
一時期、このようなカッコ付きタイトルが目立ったことがあって、嘆かわしく感じていました。しかし、最近ではカッコも目立たなくなってきています。こういうことにコダワル記者に代わったのかしら。
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