98.09.25
美智子さまの講演
本日は他に材料がなきにより、おそれ多いことながら、先日(1998.09.21)NHK教育テレビ「ETV特集」で放送された皇后美智子さまの講演を主題にさせていただきたく候。
皇后はこの日、インドのニューデリーで開かれた国際児童図書評議会(IBBY)世界大会で、ビデオによる基調講演をしました。タイトルは「子供の本を通しての平和――子供時代の読書の思い出――」(テレビ放送時は「皇后陛下美智子さま 子供時代の読書の思い出」)。IBBYでの講演は英語でしたが、テレビでは日本語での講演となりました。
当たり障りのない内容かと思っていたら、後に報道も伝えるように「異例の踏み込んだ内容」(1998.09.22朝日夕刊 p.3)でした。幼少時の読書体験を内省することにより、「悲しみの多いこの世」で、本は読む者に希望を与える力を持つ、ということを述べていました。皇后の地位にある方にしては、決して明るくない人生観を抱いていることが感じられました。
さて、まったく余計なことですが、この講演のことばの端々についてメモをしておこうというのが、今回の試みです。ご無礼の段はご容赦を。
まずアクセントについて。
セイジン(成人)してからは大人の本を、そして数は多くはないのですが、ひき続き子供の本を楽しんでいます。
コーズイ(洪水)を防ぐために、一人の人間の生命が求められるとは、まず考えられないことです。
(茶色が高いアクセント)
「成人」は『明解日本語アクセント辞典』(第2版)では「セイジン,セイジン」の順で載っているので、平板での発音が一般的のようです。NHK『日本語アクセント辞典』は「セイジン」。 「洪水」は、『明解』で「コーズイ,コーズイ」。NHKにも両方載っていますが順序は逆。皇后のアクセントのほうが古い形ではないでしょうか。
あと、「巡り会うことはデキナカッタかもしれないし、」「タマニ父が東京から持ってきてくれる本」と発音していたように思いますが、ちょっと自信はありません(テレビを見ながらメモしていただけなので)。
特にこのことにつき、じっと思いをめぐらせたということでもなかったのです。
日本の子供達にとり、幸いなことでした。
「ついて」でなく「つき」(5回)、「とって」でなく「とり」(4回)となるんですね。「ついては」「ついても」はありました。
それぞれの国や地域の人々が、どのような自然観や生死観を持っていたか、
日本や世界の絵画、彫刻の写真が、黒白ではありますが載っていました。
僕なら「死生観」「白黒」というところなので、ちょっと注意を引かれました。
とまあ、このように、講演に限らず、どうも人の話の内容よりも、ことばの端々に注意が行ってしまうのが、僕の悪い癖のようです。
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