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最近、経営トップや経営企画の責任者の鼻息が荒い。ようやく「失われた15年」からの脱却が見えてきたからだ。この点は上場企業(3月決算の金融、新興3市場を除く1583社)の連結経常利益が、06年度に25年ぶりとなる5期連続の経常増益を達成する見通しとなったことからも裏付けられる(日本経済新聞社調べ)。 顧みれば、日本企業は永い間バランスシート縮小の時代が続いた。この間、半導体を始め集中投資が必要な業界では世界でのポジショニングを低下させた。積極的な投資で台頭したサムスンなどの韓国勢を横目で見ながらである。かつて、バランスシートを気にするあまり、投資は償却の範囲内でといわれた時期があった。日本の半導体メーカーが韓国に軒並み劣勢に立ったのは、こうした投資行動の差に由来したのである。 半導体の場合80年代の日本のメーカーの生産額シェアは50%を超えていたが、現在は20%にまで下落し、代わって韓国、台湾勢が台頭している。この原因は投資額もさることながら、投資のタイミングに問題があった。韓国、台湾のメーカーは、いわゆるシリコンサイクルの底周辺で積極的に投資しているのに対して、日本のメーカーは底を脱して市況が回復してからようやく投資している。この点は他の業界も同様で、日本企業の「横並び意識」が災いしているといえよう。 先日東芝は3年間でM&Aを含む2兆円の投資計画を発表した。うち半導体関連は1兆円の投資を計画し、従来の横並び発想とは一線を画す動きを見せた。これはリスクを回避するよりも、競争優位を求めて機会損失を避けようとする意思決定と評価できる(注1)。 ところで、グローバルな競争を経験しているトップは、この「リスク回避か機会損失か」という問題は、骨身にしみていることだろう。欧米企業の機会損失を最小にしリスクを取る戦略的意思決定によって、何度も負け戦を余儀なくされたからだ。 ポーター教授のグローバル競争に関する古典的論文は、グローバルに競争に勝ち抜く術を明らかにした。すなわち、業界の競争構造を変え、主要な競合企業と差をつけることである。それには、リスクを回避せず機会損失を恐れぬ意思決定が不可欠だ。世界の多国籍企業のトップの多くは、ポーター教授が示した基本を熟知しているのである(注2)。 機会損失によって競争から脱落するのは、何もグローバル企業だけではない。超ドメスティック企業も同様である。機会損失を考慮した経営とは、換言すれば、将来の成長分野の育成に注力する、事業ポートフォリオ経営なのだ。 潜在的な機会を生かせない企業には未来はない。リスクと機会損失を測りにかけて、将来の機会損失を最小限にする戦略的視点が求められているのである。 注1: 半導体のトップ3は米インテル、韓国サムソン、米テキサスインツルメントである。ところが、昨年東芝は前年6位から4位に躍進した。この主因は、サムソンに次いで世界シェア2位のNAND型フラッシュメモリの売上増にある。なお。フラッシュメモリはiPODやその他のデジタル家電に大量に搭載され、さらにマイクロソフトの次期OSに搭載される予定で、今後の成長が見込まれる。 注2: Thomas Hout, Michael E. Porter, and Eileen Rudden, "How Global Companies Win Out," Harvard Business Review, Sep-Oct, 1982. (マイケル・E・ポーター(竹内弘高訳)『競争戦略論�供戰瀬ぅ筌皀鵐票辧�第3章に所収) |
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