わんだふる 鳥海山の花

はじめに

 7月11日(木)の夜から14日(日)の4日間、東北山形の鳥海山へ行ってきました。鳥海山は山形と秋田の県境にまたがり、日本海に裾野を伸ばす標高2236mの山です。庄内平野を見渡すようにそびえる雄大な威容と美しい稜線をもつために、出羽富士とも言われています。鳥海山には多くの高山植物が見られ、固有種も多くあることから、高山植物の宝庫としても有名です。このため、昔から鳥海山は是非行ってみたい山のひとつだったのですが、東北の山ということで、何となく行きそびれていました。今回ようやく実現できたので、その素晴らしさを簡単にご報告します。また、鳥海山の帰りに月山を目指したのですが、雨のため断念しました。
 なお、途中で写真を挿入したり、文章の一部を書き換えたりすることがあるかと思いますが、ご了承ください。


                                                              2002年08月19日(日)
      
1. 鳥海山 (7月12日(金))
      
2. 鳥海山から月山 (7月13日(土))
      3. おまけ苅田岳 (7月14日(日))

1.鳥海山 (7月12日(金))

 前日車内泊となった、山形道の寒河江SAを5時頃に出発しました。山形道は、月山から湯殿山の間が未完成で、自動車専用道路で結ばれていました。寒河江SAを出発したときは晴天でしたが、庄内平野に入ってからは曇り空で、本来見えるはずの鳥海山や月山はまったく見えませんでした。6時半に山形道終点の酒田みなとを降りました。ここから日本海に沿って酒田街道(国道7号)を10Kmほど北上すると、鳥海山へ通じる鳥海ブルーライン(無料です)の入口に到着しました。鳥海ブルーラインを登るに連れて霧がだんだんと濃くなり、気持ちが暗くなってきました。途中の大平山荘(国民宿舎で、近くに大平登山口がある)を過ぎ、7時半頃、ようやく登山口である鉾立(標高約1100m)の駐車場に到着しました。ここには、鉾立山荘、国民保養センター稲倉山荘、鉾立ビジターセンターがありました。

 駐車場では登山客の車がかなり入っているようでした。登山の準備をしている人も何人かいました。霧が濃く、天気の回復が望めないようなので、登山はやめようか躊躇したのですが、せっかく意を決してはるばる日本海まで来たので、途中で引き返すことも考えながら、とにかく登ることにしました。
 鉾立から登るコースは象潟(きさかた)口コースといい、一番登りやすい(標高差の少ない)コースのようです。7時40分、まずは、途中の御浜小屋(標高約1700m)に向けて出発しました。登山道は緩やかで、きれいに整備されていたので、順調に進むことが出来ましたが、霧のため、素晴らしいはずの景色がまったく見えません。でも、少し登り始めると、登山道に沿ってヒヨドリバナやクガイソウなどが見られるようになりました。
 標高1400m位で雪渓が現れ、このあたりになると高山植物が見られるようになりました。私がわかっただけでも、アオノツガザクラ、イワカガミ、バイカオウレン、ミヤマウスユキソウ、チングルマ(バラ科)、イワイチョウ、ベニバナイチゴ、アカモノ(イワハゼ)、チョウカイアザミ、ウサギギク、ヨツバシオガマ、ニッコウキスゲ、ミヤマキンポウゲ、ハクサンチドリなどが見られました。標高約1550mの賽の河原に来ると、大きな雪渓が残っており、驚いてしまいました。

お花畑1 コバイケイソウ ヨツバシオガマ
イワイチョウ チングルマとコイワカガミ ハクサンチドリ

 10時45分、第一目標の御浜小屋(標高約1700m)に到着しました。周りは深い霧でほとんど何も見えませんでした。とりあえず、霧が晴れるのを期待しながら、昼飯としました。ちょっと小屋の上の稜線に出ると、すごい風が横殴りに吹き付けてきます。ところが、上から下ってくる登山者に上の様子を聞いてみると、山頂は晴れており、遠くが見渡せるという話でした。まったく信じられないような話でしたが、他にもちらほらと山頂を目指す人もいたので、再び意を決して山頂に向かうことにしました。
 12時15分、かすかな望みをかけて御浜小屋を出発しました。強風はやみません。ゆるやかな尾根(そう思っていたのですが、実は広い草原であることが帰りに判明しました)を登り、1時15分頃、七五三掛という尾根の取っ付きの分岐点に到着しました。右を登ると尾根伝いに、文殊岳、伏拝岳、行者岳を通って山頂に行くコースとなります。今日は強風のため、左の千蛇谷コースを通ることにしました。こちらのコースは、分岐転から沢に向かって下っていきます。このため、強風からは開放されましたが、霧は晴れません。谷に着いてみると、千蛇谷は大雪渓となっており、驚きました。まわりの状況がよく分からないのですが、下山者に確認しながら、大雪渓を慎重に登りました。幸い、表面はやや柔らかかったので、慎重に登れば問題はなく、アイゼンは不要でした。

雪渓(千蛇谷)の登り 山頂小屋へ お花畑2

 霧に覆われてはいましたが、雪渓の登りは快適でした。長い雪渓を登り終り、山頂への斜面に取り付く頃になると、写真のような青空が広がり始めました。今までのなんとなくうっとうしい気持ちがいっぺんに晴れ上がりました。登りは急な斜面でしたが、たくさんの花が咲いており、疲れを忘れさせてくれました。本当に霧と風の中を諦めずにやってきて良かったなあと喜びが込み上げてきました。ようやく、2時45分に山頂直下の御室小屋(標高約2150m)に到着しました。早速ビールで乾杯でした。

 山頂新山(2236m)までは往復4、50分位でした。山頂では雲が広がっていましたが、一応360度見回すことができ、またまた感激といったところでした。
 小屋の入口近くには、なんとあのチョウカイフスマが可憐に咲いているではありませんか。これにも大感激!!
 夕方から風が出始め、明日の天気が心配でしたが、とにかく幸運の一日と言えました。

チョウカイフスマ:鳥海山を代表する花のひとつで、高山帯の岩場や砂礫地をはじめ、岩の割れ目などで見られます。根が深く、他の植物が入り込めないような過酷な環境の中でも生きていくことができるたくましい花です。
鳥海山(新山)山頂(2236m) チョウカイフスマ



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