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Talking about WINE by T.Yone, the fake-chef

偽シェフヨネのワイン漫談


番外篇1「ボジョレー・ヌーヴォー」| 番外篇2「シャンパン」


偽シェフヨネのワイン漫談 番外篇1「ボジョレー・ヌーヴォー」

Beaujolais Nouveauは毎年11月の第3木曜日(注A)に解禁となります。ブルイー、シェナス、フルーリー、モルゴン、ムーランナヴァン、サンタムールなど10以上のAOCから成るボジョレー地区のその年収穫されたブドウから作った新酒です。ヌーヴォーを名乗るワインはいくつもありますがボジョレーのものは通常の発酵方法ではなく、マセラシオン・カルボニックで短期間に発酵させワインにしています。

バブルの頃は人皆浮かれ騒ぎ、日付変更線の関係で世界で一番だか二番だかに飲めるという初物指向が過熱し、品切れ・入手困難となって真面目なワインファンがとばっちりをくいましたが、近年はさすがに落ち着いて飲めるようになりました(注B)。もっともじっくり味わうという代物ではなく、フルーティーさを楽しみましょう。お祭りのワインなのです。

ヌーヴォーがうまい年はいいワインができます。これも楽しみのひとつです。ちなみに97年物は、当たり年の前評判どおりのしっかりとした味わいでした。色合いは紅色に近いあざやかさ、フルーティーさはむせかえるほどで、ごくわずかながら発泡性だと感じました。国産メーカーが競って売り出す新酒とはまったく一線を画した力強さをもっています。初ものの祝祭性と輝きはもちろんどんなものにでもありますが、ただただ早く出荷したくてたまらない新酒とは別の意義を持ったものであると思っています。大げさに言うなれば「フランス国家の誇り」でしょうか。

(C)T.YONE 1998

(注A)1998年は、11月19日午前0時が解禁です。ちなみに、まったく関係ありませんが、しし座流星群の最大観測日は11月18日午前4時ころ(数時間の誤差あり)ということなので、残念ながら、ボジョレー・ヌーヴォーを呑みながら流れ星に願いをかける、というわけにはいきません。しし座流星群についてはhttp://www.leonids.net/へ。

(注B)ところが、最近の赤ワインブームでまたまた輸入量が激増しているそうです。まともな値段で出回ってくれればいいのですが。ちなみに私は空輸ものは高いので年末から出回る船便のものを愛飲しております。中身は同じなんだから。

annotation by Takashi Kaneyama 1998


偽シェフヨネのワイン漫談 番外篇2「シャンパン」

「シャンパン」はフランス北部のReims(「ランス」という読みです(注C))を中心とした「シャンパーニュ地方で収穫された葡萄から作った発泡ワイン」のことです。ここで記憶しておくべきことは、上記以外のものを「シャンパン」として販売するとインチキ(注D)となることです。甘みのついた単なる清涼飲料水まで「シャンパン」と呼んでいる国も珍しいのですが。アメリカ産も日本産もありません。フランス産ただひとつ。「Champagne」と表示されているものをお買い求めください。1本3,000円〜5,000円くらいのランクが一般的です。ラベルに「BRUT(ブリュット)」と書かれているのが辛口「DEMI SEC(ドゥミセック)」が少し甘口です。同一の価格ランクでは味の違いはほとんどありませんので、チョイスはご自由に。

シャンパンはよくよく冷やしてください。理科の授業でやりましたね、炭酸ガスは冷たいほどよく液体に溶けるって。炭酸ガスをいかに逃がさないようにするかがシャンパンの醍醐味です。フォイルをむいて針金をゆるめます。タオルか何かで針金ごとコルクを掴み、やさしくねじりながら抜いていきます。途中から中の圧と折り合いをつけながらそっと抜きます。決して決してドラマや映画でやるようにコルクを景気よく飛ばすなんてことはしないでくださいね。あんなことをして中身までぶちまけるのはやめましょう。

さてグラスは細長い背の高いものを使います。平べったいシャーベットグラスに入れているのを見かけますが、泡の抜けが早いので避けましょう。細かい泡が優雅に永遠に立ち上るかのような錯覚に包まれながら、至福の時を愛する人とお楽しみください(べつにひとりで飲んでも超美味であります、念のため)。

(C)T.YONE 1998

(注C)ちなみに、1998ワールドカップが開かれた都市はLens(ランスという日本語では同じ読みになってしまう。正確には子音も母音も違うが)。6月21日のドイツ対ユーゴスラヴィアは壮絶な試合になりました。なんでこんなことを書くかというと、日刊スポーツなど、ランスを取り違えるマスコミが続出したので。Reimsはパリの北東で、ここのノートルダム大聖堂は歴代のフランス王の戴冠式を行った由緒あるところ。西正面扉口の初期ゴシック彫刻のうち、とくに「微笑む天使」のアルカイックスマイルは有名。また、市内には「フジタ礼拝堂」として知られる藤田嗣治の絵に囲まれた教会もあり、もちろんシャンパンメーカーの見学もできて楽しいところ。対してLensには、え〜と、Lensには、と。ここはもうサッカーチームしか知らない。97-98シーズンのフランスリーグ優勝チームです。市の人口より多い収容能力をもつスタジアムがある、街ぐるみでチームと一体となっているすてきなところです。パリの北方、ベルギーとの国境に近い本当に小さな(さっき地図で見つけるのに2分27秒かかった)街。

(注D)インチキ表示はさすがに少なくなり、「Sparkling Wine(スパークリングワイン)」と書いてあるようになりました。なお、イタリアでスプマンテ、スペインでカバ、フランスではシャンパーニュ地方以外のものはヴァン・ムスーと呼ぶことがあります。シャンパンとまったく同じ製法をとっているものもあり、これらのなかには結構掘り出し物がある場合もあります。ただし、リスクもあります。シャンパンはなにしろ保管中に毎日1/4回転ずつ瓶を回したり、急速冷凍で澱をとったり、とてつもない手間がかかっていますので、ある程度の値段は仕方ない(つまり、安物はどこかで手を抜いている)と思います。

さらにくだらないことを付け加えれば、白ワインを炭酸水で割ったカクテルがありまして、カリフォルニアあたりで好まれます。フルーティではあるが甘い、という安ワインの飲み方としては悪くありません、食前酒にどうぞ。上手に泡をたてれば、いやな客に「シャンパンですよ」と勧めてもわからないかも。

annotation by Takashi Kaneyama 1998


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annotation by Takashi Kaneyama 1998