リクガメが家に来たら

ほとんどの方はペットショップからリクガメを購入されたことと思います。ペットショップといっても、1個体ごとにきちんと隔離し、設備も整えて販売しているところから、いろいろな種類のカメを狭いところに押し込めて売っているところまで、さまざまです。ただしどんな売られ方をしていようとも、そのカメの原産地での取り扱われ方、輸入経路での状態、問屋での管理の仕方、などは、全く分かりません。ですから、これから述べることは必ず実行して下さい。

もしも前から飼育しているカメがいた場合、絶対にすぐに一緒にしない

購入したカメは、さまざまな流通経路をたどってくる間に、多くの他の爬虫類と接触します。これらからいろいろな病原体をもらってくる恐れは大きいです。また、その個体にとって何ら病原性を示さないものが、以前からいるものにとって致命的な病気を引き起こす場合もあります。

犬猫に比べてはるかに野生動物に近いリクガメですから、いわゆる「検疫」期間を必ず設けて下さい。

検疫の方法

  1. 検疫というからには隔離飼育しなければいけません。たとえ数匹一緒に購入し、それが同じ種類のカメであっても1匹ずつ別に飼育したほうがよいと思います。個体ごとに分けることによって、病気の蔓延を防ぐのはもちろんの事、それぞれの食餌の量、糞の状態、などの把握が容易になります。

  1. 家に連れ帰ったらすぐに、ぬるま湯に漬けて温浴をさせて下さい。温浴は、体についている糞などを洗い流して、寄生虫卵や病原体を家に持ち込むのを防ぐだけではなく、往々にして軽い脱水状態になっている事の多いカメの代謝を高めてくれます。

  1. カメが入っていた輸送用の箱、詰め物に使われていた新聞紙などは、直ちに処分して下さい。これらが感染源となることも多く、処分した後はすぐに手を消毒して下さい。

  1. 検疫は最低1ヶ月は行って下さい。病気には潜伏期間があるのを忘れてはいけません。また早めに獣医師に検便を依頼し、寄生虫が見つかった場合は駆虫を行って下さい。もちろん、この間に何か少しでも「おかしい」と感じたら、すぐに診察を受けて下さい。

  1. 検疫期間中の世話は、以前からいるものより後にするようにして下さい。またひとつのケージの世話をする度に、手をきれいに洗って下さい。

  1. 新たに連れてこられたカメは、輸送や環境の変化といったストレスにさらされており、病気に罹りやすくなっています。環境温度はやや高めに(最低温度25度、ホシガメやヒョウモンリクガメでは28度くらい)維持しておいた方が免疫力が高まり、病気に対する抵抗力が付きます。

  1. 観察することは大切ですが、必要以上にのぞき込んだり、触ったりすることは、カメを病気にする元です。騒音のない、静かな環境を用意して下さい。ケージ内にシェルターを必ず設置するようにします。

とりあえず1ヶ月から2ヶ月の検疫期間を無事に乗り切れば、まずは一安心です。子ガメでしたら体重も少し増えてきていると思います。ただし、もしスペース的に余裕があるのなら、リクガメの場合は基本的に単独飼育をおすすめします。本来野生状態では、交尾の時期を除いてほとんど他のカメを目にしないで生活している訳です。常に視野の片隅に「他人」がいると言うことは、長期的に見てかなりのストレスを与えていると考えなくてはいけないと思います。


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