王(ワン)飯店には謎がある‐風鶏の謎の巻

店内風景


ここ数年はまともな中華を食べられない環境にあったので、もっぱら沿海部の町を巡って魚介類の食べ歩きなどをして不満の捌け口としてきました。それらしい中華といえば福島の石林に四川から特級コックの王さん(こちらもワンさんです)がこられていて、この人に作っていただく本格四川料理ぐらいのものでした。

地方都市ではほとんど無理だと思っていたのですが、探せばあるものですね、この仙台にも手間隙掛けた手作りの特別料理のメニューを組んでくれる店が・・・・。 店の名は上海王飯店です。通称ワンの店で通っているようです。店のホームページを見たときは多少期待できるかなと思いましたが、まだ半信半疑でありました。それでも、始めてこの店を訪れたときには、店の様子のあまりの怪しさには心に響くものがありました。初めて食した豚大根(汁物です)定食の味もなかなかのものであり、2度目にして、もう特別料理の予約とあいなりました。

今回予約したものは風鶏と東坡肉です。さて、お題の風鶏ですが、私が知っているのは揚州料理のちょっと燻製っぽい味のする、風にさらした鶏の料理です。これは、詰め物などはせずに鶏肉そのものを食す料理です。この店のものは棗、クコ、金華(火腿)その他をあえたもち米をつめて蒸しています。

台湾で買い求めた「中国烹[食壬]百科全書」(原本は大陸で出版されたもののようです)によると、風鶏の作り方には次の3種類があるそうです。@光風乾鶏(湖北省、湖南省、四川成都で作られています)A帯毛乾鶏(江蘇省、河南省、雲南省、貴州、四川成都で作られています)、B泥風鶏(湖南省で作られています)

説明を見ても、詰め物して蒸すという記述はありません。@の四川成都のものは元寶鶏で、詰め物をしていたような気もしますが、書物などでの確認はできませんでした。王さんに聞いてみても、日本語がもう一つなので要領を得ません。まー、結論は出さず、宿題として。とっておきましょう。

福島の王さんは男性ですが、ここの王さんは女性です。なかなか、魅力的なキャラクターの方なので、いずれ詳しく紹介したいと思っています。

さて、肝心の味のほうですが、最近の大陸ではもう失われつつあるピュアで素朴な味付けで心に迫るものがあります。香港ではこういった味は体験したことはありませんが、台湾などには、ほんの少しですがまだ残っています。

食事の味も楽しめますが、この店にはかわいらしい座敷童子が住み着いていて、いろいろと私たちを楽しませてくれます。

 



王飯店の座敷童子


豆腐春巻


東坡肉


風鶏


王飯店の座敷童子2


トマトと卵の炒めもの



基礎データ
住所 仙台市青葉区堤通雨宮町2-1長久ビル1階
電話 022-275-2638
営業時間 昼と夜、日曜日はお休み。
お勧め料理 豆腐春巻、東坡肉、風鶏など
取材日時 2004年3月




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