メグレ捜査地図
Rue du Roi de Sicile
 ついに《シシリー王》街へはいった。袋小路や横町や中庭に人がうじゃうじゃいる、雑然たる街で、半ばユダヤ人町、半ばポーランド人町になっている。そこを二百メートルばかり行くと、いきなり一軒のアパートにはいった。       *
 《シシリー王荘》――陶器の表札にはそう書いてあった。
(木村庄三郎・訳/旺文社文庫『怪盗レトン』P64より)
4区・マレ地区
 マレ地区は歴史的建造物の多いことで有名だが、ピカソ美術館になっているサレ館とヴォージュ広場に隣接するシェリー館の庭園にしか入ったことはない。この地区のピラーグ通り、シシリー王通りなどがメグレ作品に頻繁に登場するが、一般的によく知られているのは銀器のお店があるフラン・ブルジョワ通りとユダヤ人街のロジェ通りだろう。1988年の春、ヴォージュ広場から偶然迷い込んだ庭園は緑に輝いていて、幾何学的な配置も美しく、後でそこがシェリー館の庭園と分かった。

シシリー王通り