◆ ことばの不思議 ◆


1998/06/13 23:45-24:30 NHK教育 知への旅
「ことばの不思議 (1) なぜ話せるの?」(3回シリーズ)
人間の可能性を探る言語学

「言語学」について一般向けにわかり易く紹介する番組。 アメリカで作られたものの吹き替え版。3回シリーズの第1回を 観ただけだが、とても面白い番組だった(第2回は 6/20、第3回は 6/27 放送予定)。
このところ放送している「知への旅」シリーズは好き。
このページでは、番組を観て僕が考えたことなどを雑多に書きます。 番組内容と異なったり、飛躍しているところもあるかもしれません。

この番組では、言語というものの基本的なところをよく説明していた。
ノーマン・チョムスキーの基本概念(Universal Grammer 普遍文法)が ちょっとわかった気がする。本人含め多くの言語学者が登場していた。

頭の中では、目の前で起こっていることは、同時に並列に理解しているが、 言葉は1次元なので、「単語」を「並べ」なくてはならない。 並べ方はいろいろ可能だが、ことばを使うグループ内では統一しないと 役にたたないので、地域ごとにルールが作られる。それが文法だ。
(例えば英語の場合、普通 The Big Red Baloon と言い、The Red Big Baloon とは言わない。それは無意識に学習されたルールだ。)

地球上に言葉は 5000 あるいはそれ以上あるが、細かい違いはあるにしろ、 言語という基本的構造においてそれらは驚くほど良く似ている。

「ことぱ」は何を伝えるために発達してきたのか? 何が得意で、何が苦手か? ことばは万能ではない。「らせんを言葉だけで説明するのは難しい」 「道順を示すのは地図の方がずっと簡単」 「僕のとなりにキリンはいない、という絵を描くのは難しい」 「明日雨が降るだろう、という絵を書くのは難しい」。

人間の思考は「抽象的な物事・概念」を扱うのに適していて (それは脳がそうできているから)、それを表現し伝えるために、 言葉はできてきた。

世界は多様で、少しづつ違っている。それら全てを表現することは できないから、ある程度の単純化、抽象化、フォーカスを行わなくては、 思考を組み立てるのは難しい。そういう理由で抽象概念は作られる。
地域によって、どういう概念が必要かということが異なるので、 違う単語セットが作られるし、発音も異なるが、「言語の構造」は 似ている。


これは以前から不思議に思っていたのだが、 例えば日本語と英語では、ほとんどの単語に対応するものがある。
つまり、[猫 ⇔ Cat] [太陽 ⇔Sun] … という対応関係があって、 辞書を作ることができる。

目に見える物体ならまだ納得できるが、非物質(概念)に 付けられた単語についても、やはり対応するものがある。
[心 ⇔ Mind] [意味 ⇔ Meaning] [期待 ⇔ Anticipation] [誇り ⇔ Pride] [愛 ⇔ Love] [嫉妬 ⇔ Jealousy] [家族 ⇔ Family] … (外来語由来の単語があったらごめん。)
これは、とても不思議なことに思える。

まったく別々のスタート地点から始めて作り上げたものが、 並べてみると、ちゃんと対応するようになっている。 これは一体どういうことか?

ことばをつくり出すための基盤となるものが、似ているから に違いない。それは、

という共通基盤があるからなのだろう。

ということは、

するほどに、言語を生成する基盤が異なるわけだから、 単語の辞書を作ったり、意志疎通をするのが難しくなってゆくだろう。

ましてや「地球外生命体」と会話・意志疎通する なんてのは、それ以上に難しく「不可能」に違いない、と僕は想像するのです。


1998/06/20 T.Minewaki
2000/06/17 last modified T.Minewaki

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