● ◆ アブラカダブラ! ◆

毛利さんは番組の最後にこんな事も言いました。 生命はただ続いてきた訳ではない。 そこには常に、より良く生きよう、という意志があった。 種としての人間はいずれ亡びる、我々はそれを知っている。 しかし、我々は生命として、より良く生きる道を探らなければいけない。 何だか怪しげです。 ____ いきなり、 「そこのあなた、生命としてより良く生きなさい。」 と言われたら、どう解釈しますか? 理解できませんよね。 ◆ だって、これ、文章として成り立ってないもん。 一見立派に見える、曖昧な言葉を並べただけだ。 何かあるように見えて、何にもない。 「アブラカダブラ〜」みたいなもんだ。 ____ このコトバは、「生命」という番組をずっと見てきて、あるいは このコトバの前に語られた、「生命には、常により良く生きようとする 意思が……うんぬん」(これも曖昧な表現だ)の文脈があることを 前提にしていて、それらを含めて、 ◆ あなたの好きなように解釈してくれ、 と言っている。 だから、コトバの中の個々の単語の定義を決めたってダメなんです。 ____ なんとなく意味がありそうだから、つじつまの合う解釈を探して 考えるわけだ、視聴者は。 ◆ でも、その時、それぞれ個人が考えていることはみんな違うんです。 僕は、もともと生命についていろいろと考えていて、曖昧な言葉を 聞いても、それが科学的に正しく意味するところの、とても狭い部分 しかイメージできないから、どうしてもうまく論理をつなげることが できなかった。 コトバを構成する単語に対して、あらかじめ持っているイメージが 広い人ほど、全てを満たす解釈が得られやすい。 そして、その解釈は、僕にとっては、正しくない。 というわけだ。 ____ ◆ NHKは、(おそらく意図的に) 結論などいってはいないのだ。 これが、僕のたどり着いた解釈。 あーすっきりした。 ____ * この発想は、Bさんのメイルでのコメントと、Sさんのコメントを  きっかけに始まりました。迷路に灯りをともしてくれた2人に  感謝します。議論はしてみるもんですね。 * この記事の第1稿を書いたのは、1995年4月5日の午前4時前。頭が冴えて眠れない。

1995/04/05 T.Minewaki
1999/09/09 last modified T.Minewaki

生命 40億年はるかな旅 (10)
生命のよもやま話
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