◆ 川のむこう つれづれノート (14) / 銀色 夏生

Tsurezure Note 14
作品名:川のむこう つれづれノート (14)
作 者:銀色 夏生
発行所:角川書店 角川文庫
    2005年6月25日 初版発行
定 価:552 円(税別)
ISBN4-04-167357-7 C0195 \552E

深い海の底に沈んでいるような気持ちで暮らし、
深い海の底に沈んでいるような気持ちで旅をし、
深い海の底に沈んでいるような気持ちで人と会おう。


毎年恒例の、銀色さんの日記。
1年分の日記(2004/04/01〜2005/03/31)をまとめて読む。
「つれづれノート」シリーズ 14 巻目。そして、最終巻。

もう 15 年も、銀色さんの日々を読み、追体験してきているので、 良く知っている隣人のよう、いや、家族に近いかも。 訪れた場所、出合った人々、家族や犬とのかかわり。 彼女の考え方が自分の中に入り込み、混ざって、どれだけの影響を受けたのか。 共感できる部分が多いから読み続けてきた。

宮崎での住居は少しづつ整備され、やっとやっと、誰にも邪魔されない 「ひとりの空間と時間」を彼女は手に入れる。 このために、家を建てたのだ。このために、ずっとずっと準備してきたのだ。 その喜びをかみしめ、これからはひとりでゆっくり生きてゆくぞと 強く決心する最終部。
11 月からは4ヶ月間の「おこもり生活」。 そして3月 19 日、
-p323-
このつれづれノートを書き始めた時、私が書きたいあることは、 日記形式で書くことによってうまくいいあらわせるなあと思って、 書き始めました。その書きたいことを、私はじゅうぶん書いたと思う。 じゅうぶんすぎるくらい何度も書いたと思う。 それで、このつれづれノートは今回で終わりにします。
前巻あたりから、一段と銀色さんの考えが落ち着いて、この先の人生に どう向き合って行くのか、スタンスが固まってきた印象を持っていたので、 これで最後、と言われても驚きはない。
長い間日記を読ませてくれてありがとう、元気でね。という気持ち。さらりと。



共感できる記述は多数。以下はほんの一部。
-p324-
歌に関しては、いつも思っていることがあって、歌の中の「声」は、 生まれつきの資質、才能だと思う。そして、歌の中の「歌い方、歌いまわし」は、 その人の性格、生まれたあとの生き方、価値観や美意識を表していると思う。 歌い方には、その人がよーくでる。
-p346-
伝えたいことがある人が、伝えたい人にむかって語りかけることばは、とどく  それはカベもこえる

2005/09/26 Takakuni Minewaki

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