◆ 鉄腕アトム 第1回 ◆

ある番組 (*) で「鉄腕アトム」の第1回放送 (1963年1月1日放送)の録画を観た。

自動車事故で死んでしまった息子「飛雄(トビオ)」を悲しみ、 彼に似せて究極のロボットを制作することを思いついた天馬博士は、 国家プロジェクトを私用して科学技術の粋を集め、 ロボット「トビオ」を作り上げる(2003年4月7日誕生)。 そのロボットを身近において教育し、人間らしさを学習させるが、 何年経ってもトビオロボットが「大きくならない」ことにやがていらだち 「本物の飛雄と違う!」といって、天馬博士はトビオロボットを ロボットサーカスに売り渡してしまう。

このストーリー展開、スピルバーグ監督が最近作った映画 「A.I.」(2001) に酷似している。 こちらでは、初めは人間の子供の代わりになると思った子供型ロボットが、 実際には人間と違うことに幻滅され、森の奥へ捨てられる。

息子を亡くす悲しみ、それを埋め合わせようとする欲望が 普遍的に人間の心を動かすものだ、ということが伺われる。 それが科学技術と結びついたら 大変なものができてしまう、 という警鐘ととれなくもない。
日本で最初のTVアニメとして放映された「鉄腕アトム」に こんなに深いドラマがあったことは知らなかった。 もちろん、鉄腕アトムの他の回の放映でも興味深い問題意識が見え隠れし、 手塚治虫のストーリーテリング能力の底知れなさを感じた。



* NHK 総合 2002/05/12 01:05-04:00
 永遠のヒーロー鉄腕アトム「視聴者リクエストベスト3発表」

2002/05/12 T.Minewaki
2002/05/19 last modified T.Minewaki

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