5年ほどさかのぼりますが、僕が今の場所に引越してきて、 猫に興味を持ち始めた頃、近所に一匹の白猫がいました。 猫とコミュニケートするということの面白さを知り始めていた僕は、 見かけると時々撫でて仲良くなりつつありました。
それは毛並みがバサバサでところどころ禿げ、目もふさがりがちな くたびれた野良猫でしたが、いつも、通りに面した角に座り、 道行く人に撫でられたり餌をもらったりしているようでした。
しかし、その猫は体が弱ったのか、ある日交差点を通ると以下のような 貼り札が掲示されていました。(写真)
猫を可愛がってくれた皆様へ 十月二日 白猫は永眠いたしました。 マンションの皆様と丁寧に埋葬いたしました。 長い間可愛がって下さいましてありがとうございます。 |
沢山の花やキャットフードやメッセージが供えられ、 この猫を好きだった人々が多いことがうかがわれます。 また、この角に面したマンションでも、野良猫の存在を 容認し暖かく見守っていたようです。
ただの野良猫がこれだけ多くの人々に気にされている。 それは僕にとってとても印象的な出来事でした。
この角は半年ほどのちに新たな猫、 ショートテイル と ビッケ の居座る場所となり、 沢山の猫が現れて「猫の交差点」と僕は呼ぶようになります。
やがて、これほど猫に寛容だった同じこの場所で、 「野良猫の食料危機」 という厳しい駆け引きも展開されることになります。