ジーンズの賢い使い方

[Holding My Jeans]
( 1997/8/14 撮影 at ツグリキン・シレ、モンゴル )

明けて8月14日、今日もプロトケラトプスの掘り出しと ジャケッティングの作業が続く。 昨日固めた頭骨化石のジャケット を首のところで胴体から切り離してひっくり返し、裏側を石膏で塗る。

次に胴体を掘り進める。頭骨からまっすぐ後方に背骨の先端が 露出しているので、それを囲むように左右両側を掘り、大きな直方体の 砂プロックを削り出してゆく。
不思議なことに、後足の先のほうが見つからない。
胴体上面の石膏ジャケットを塗ったところで午前の作業は終了。 つむじ風が砂を吹きつけて、石膏の表面はすぐに砂の粉を まぶしたようになる。

昼食の後、午後には胴体をひっくり返し、裏側をジャケットする。

実はこのジャケットの際、石膏を浸して化石に巻きつける布が足りない、 という困った状況が発生していた。初めのうちは、ゲルをカバー している薄い布を切り取って使っていたのだが、それも限界がきて、 布材の提供が求められていた。予想外の大きな化石が出たので 準備が間に合わない、という嬉しい誤算の表れでもあるのだろう。

そこで僕は自分のはいてきたジーンズを提供することにした。 どうせ穴の開きかけた(いや、すでにいくつか開いている) ボロいジーンズなのだ。貴重な恐竜研究の役に立ってくれるのなら 本望だ。
提供したジーンズはすぐにチョキチョキと解体され、太ももから先の 足の部分を長い短冊状に裂かれ、頭骨と胴体のジャケットに使用された。
残ったマイジーンズの残骸を手にする僕(写真)。 右にある白い固まりは胴体ジャケット。


1998/09/20 T.Minewaki
1998/09/30 modified T.Minewaki

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南ゴビ 写真日記 1997思い出のアルバムMINEW

T.Minewaki / minew@post.email.ne.jp