スタディ・ツアー感想文
「私は16の小娘である。何か得した気がしている。」 

  柳田 朱里  

 Walking

シルケボーの湖畔の森を散策(右から2番目が筆者)

 私は16の小娘である。何か得した気がしている。
 私は一週間ほどデンマークに行った。すごくよい印象を受けた気がする。とても良かったとすぐ出てくる。良い所を見せてもらって単純に感動して、他の面を探そうとしなかったせいかもしれない。悪い所も人から聞けば「そうだな」とか思っても、自分で考えきれなかったのは確かだった。
 年上の大人たちに囲まれて大人になったような気になって、16の小娘だからという理由でなく、私自身受け身な勉強だったのかもしれない。学校の習慣かな。いつも触れないところに触れた気がした。
 (中略)

 エフタースクールやホイスコーレやフリースクールへの感想はきっと私はこういうところにあこがれているんだろう、といったふうな感じで、与えられた高校生活の中で足りなくなって、欲しいものがあるかもしれないと思った。見てから欲しくなったのかもしれない。同時に今の自分に対していいかげんだという感じをはっきり自覚した。
 勉強や体験することに対して、自分で責任をもっていい年齢なのに、私の甘えみたいなものが今より「良くみえる」ところにひかれているんだろうと思った。思わぬところで「やられた」という感じだ。
 もっと真剣なんだ、こっちの人は。とカルチャーショックをうけた。同時に自分たちはこういう機会が与えられていないことに多少のむかつきを感じた。「うらやましい」といっしょに出てくる感じ。
 小娘は自分がいちばんかわいいのかもしれない。自分可愛さに国外脱出を夢見るようになる。でも、まだこれからいろんな経験をつみたいし、日本にいることが不利になっているわけではないはずだ。それを理由にしたくはない。もっと自分からいろいろやってみよう。でも、日本にずっといるわけではないだろうし、まだまだいろんなところにも行こう、とますます野望をふくらませているのだった。
 ああいった学校に行きたいなぁと本気で思った。帰りたくなかった。日本に帰るのは日本人だし、ビザが切れるとかもあるけれど、他にもあるのではないかと少し考えた。でもやっぱり日本人だからかもしれない。すっごく良い国をみつけて、住みたいくらいだとかいっている人は多くても大半は帰る。不思議だ。住めばいいのに。

 どんなに良くても人が築いたものだからだろうか。そこにのっかって生きるのはいやなのだろうか(たしかにそんな気もする)。自分の国はやはり帰るべきところなのだろうか。住むのもかんたんじゃないとか。
 良い所へ行きたいとは思うけど、帰るのはなんでだろう。かんたんじゃないだろうけれど、自分たちがもっと良い国をつくろうとか思っているかもしれないし、そんなことは思ってもいないかもしれない。地獄から見てこそ天国なのだ的考えだろうか。帰らないといけないから帰りたくないのか。
 だけど、遊牧民みたいに移動慣れしていない私は日本人だなぁと思いつつ、米の飯と湯ぶねに日本を感じたのでした。離れてわかる日本だなぁと少しだけ思った。
 私の世界はまだせまいので、もっともっと広げるためになら努力はおしまないようにしないととか、和食は健康食なんだとか、でもキャンプ・ファイアーの炎を見ないと眠れない体質になったらどうしようとか、学校をつづけられるかなとか、ぐちゃぐちゃと考えてます。向こうでは本当に帰りたくないと思ってた。

 これから先の人生計画を建てる上でいいエッセンスをもらったんだと信じて、もうしばらく頑張ってみます。親に話したけど、手応えがよくわからないので、いざというときにはお世話をかけるかもということも何気なしに話した。
 学校の先生という職業に、私ははっきり言って良い印象をもっていなかったけれど、その反動でデンマークで見た先生たちを理想化しまくりそうでこわいです。実際みんないい人なんだろうけど。
 かなり寝不足になったし、たくさん食べたりもしたけど、気分はしあわせでした。街を歩くだけでも、すごい体験のような気がした。小さい子どもたちはかわいくて、話をしないでも折り紙をしたりして、内心「国際交流だわ」とか思った。
 けど、同年代の人たちと英語で話せなかったのがつらい。というかもったいないことをした。次、があるかはわからいけど(いやきっとある)、どこか行くときのために、英語をマスターしようと心に決めた。
 お金の話がけっこう出たけど、オープンだった。人と競い合わないことが何でも少しづつできる人をつくるのだろうか。今の私の生活はすごい違っている。
 帰ってからも少し勉強してみます。今はまだきいた話を自分のものとして消化しきれていないし、あこがれみたいなのが強すぎるから。
 

 幸せって何だろうかと考えさせられた国でした。
 個人的な話ですが、大人のみなさんは小娘の冗談を本気にしないように。帰りの飛行機で、某Mさんに「あかりちゃん。オレは孤独なわけじゃなくて、孤独を楽しめる人だからね」といわれました。誰ですか!Mr. Lonelyなんて言ったのは。私は無実です。
 柳田朱里16才の夏にデンマークへ行けてよかったです。良い影響を受けてよかったです。人と話せてよかったです。ありがとうございます。
 来年はインターナショナルな女をめざして言葉と考え方をもっと身につけるべく、いろいろやってみます。将来に至っては「地球の庶民、世界をかけめぐるゴージャスな女」でもめざしてみようかしら。
 18までで、どれだけのことができるかわからないけど、自分で探してみます。今も外国に行きたくて行きたくてしょうがない気持ちがあるけど、今は日本にいて、体験できることから始めようと思ってます。18になったら、やっぱり留学とかもしてみたいと思います。私はこれからの希望をもてた気もします。

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