教育の改革と創造を目指す教師たち日本に集合
第22回フレネ教育者国際集会の案内

この会合はすでに終わりました。協会会員による参加報告記がありますので、こちらをごらん下さい。

第2回フレネ教育国際集会(RIDEF JAPAN1998)に参加して 坂本 卓二

主催  IDEF`98 JAPAN 実行委員会     
事務局:東京都三鷹市井の頭 3-21-16 Tel/Fax 0422-43-5894
E-mail:VEF02417@niftyserve.or.jp

 今年の夏,世界のフレネ教師たちが日本に集まってきます。第22回フレネ教育者国際集会(RIDEF)が,開催されるのです。すでに,ヨーロッパ,ラテンアメリカ,アフリカ,カナダなどから,参加の意思表示がなされていますが,4月までには,世界中の約30か国からやってくる,120人程度の参加者が確定することになっています。

 セレスタン・フレネはかれが提唱した伝統的な教化教育を乗り越えた教育学は,単なるフランス教育学ではなく本質的に国境を越える国際的なものであることを確信し,そう主張してきました。そこから,FIMEM(現代学校運動世界連盟)もRIDEFも生まれたのです 。

 とりわけ,RIDEFは,FIMEMに加盟していない国の教師たちにも大きく門戸を開いた大衆的な交流の場として,フレネ教育を世界に広げる上で大きな役割を果してきました。フレネが書いたり語ったりしたことを金科玉条として崇めるといった空気はそこにはありません。それぞれの国の事情に応じて,自由にそして創造的に教育のスタイルを生み出していこうとするさまざまな試みの交流から,新たな刺激を感受しようとする意欲的な人たちがそこに集まってきます。

 ですから,このRIDEFの特色は,その交流を深めるために,10日間という比較的長い期間,さまざまな国の現場教師が(こどもや研究者も含めて)寝食を共にし,アトリエという場でチームを組んで一緒に仕事をするというところにあります。そういう交流の中から,「平和」についての国際絵本とか,「ヨーロッパ諸国でナポレオンはどう教えられているか」という国際比較だとか,エスペラントによる学校間通信などといういくつもの国際協力プロジェクトが生まれてきました。

■世界に目を開く絶好のチャンス
 今度の集会では,「学びの地平をひらこう」というテーマのもとに,20近くのロング・アトリエが予定されています。午後は連日,参加者の自由な提案に基づいて多彩なショート・アトリエが開かれます。そして夜は,テーブルを囲んでコーラス,ダンス,おしゃべり。盆踊りやキャンプファイアーなどもあります。途中に,遠足日もあり,世界の教育改革運動について語るシンポジウムも予定しています。これだけの教師が世界中から日本に集まり,たっぷり交流できる催しは,こ れが初めてで,また,これからしばらくの間は開かれることがないでしょう。ここで,たくさんの人と友だちになり,世界に目を向け,足をのばす手がかりをつかむ絶好のチャンスです。

 いま,文部省主導のもとに教育改革が進められようとしていますが,その「新学力観」を凌駕するイメージを鍛えるためにも,世界の教育現場で活動している教師たちから学ぶところは大きいと思われます。また,日本の民間教育運動がこれまでに蓄積してきた沢山の成果を,世界に向かって積極的に提起していくいいチャンスでもあります。多人数,一斉授業という制約を逆手にとって生み出した実践の数々は,今,同じような状況にあるアフリカやラテンアメリカの教師たちにどう受け止められるのでしょうか。 

 10日間も続く研究会なんてめずらしいことです。しかし,この長丁場が貴重なのです。ここはひとつ,海外旅行にでも行くつもりで思い切って参加するっきゃない,そう思いませんか。

 教え込みと暗記を主とする伝統的な教育の克服を目指したセレスタン・フレネの教育学とは,あくまでも,こどもを起点とし主体とする自由教育であり,何よりも,現場から生まれた教育学であるがゆえに,具体的な実践と結びついた堅実な教育学だということができます。そして,裕福な親を持つ特定のこどもたち相手の教育ではなく,公立学校そのものの改革を目指す教育運動だというところに特徴があります。
 それは,現場でどのように展開されているのでしょうか。

■自由作文■
 自らの生活に根ざしたこどもの作文の発表と討論から,フレネ教室の一日がスタートします。共同研究のテーマがそこで決まります。教科書よりこどもの表現が優先です。

■学校印刷所■
 共同批判された作文や研究報告などがこどもの手によって印刷され,それがテキストとして活用されます。


■学校間通信■
 表現とコミュニケーションとを組み合わせることによって,こどもの世界は広がり,生活を見つめる目が相対化され,また,共同研究への動機づけともなります。

■学習の個別化■
 誰もが身につけなければならない基礎的な力を獲得するための学習は,絶対に落ちこぼれが出ないように個々のレベルとリズムに基づいて取り組まれます。

■自律学習■
 こどもたちは,毎週,自分のレベルとリズムに応じた学習プランを作り,その時間割に基づいて勉強します。

■実験的模索■
 個々の学習プランの点検は,まず本人の仕事です。間違いに気づきそれを訂正する試行錯誤の過程で学びが定着していくのです。そこをチェックするのが教師の仕事です。

■学級協同組合■
 自分で学習を組織するこどもたちは,自分たちのクラスを,助け合 いと自治の原則で組織します。自立し協同する明日の市民がこうして育成されていくのです。フレネ教育は単なる方法ではなく,こどもの「生の拡充」を促し励ます哲学です。その展開の中で教師も育っていくのです。

第22回フレネ教育者国際集会

■テーマ/学びの地平をひらこう
期間/1998年7月22日(水)〜7月31日(金)10日間
会場/自由の森学園(埼玉県飯能市)
参加者/教師・研究者・父母・こども・学生など外国から約120名,国内約50名(全期間参加者)
参加費/4万円(宿泊費を除く食費・資料費・遠足費など)
締切/1998年4月1日(先着順,定員に達し次第締切り)
申込先/RIDEF`98 JAPAN 実行委員会
*■■全期間参加を原則とします。午前中のロング・アトリエには,部分参加者は出席できません。
*■■部分参加については(その参加費も含めて)個別にご相談の上受けつけます。*■■ホームスティ(受入れ),ボランティアなどの申し込みも受けつけております。なお日本人参加者の宿泊につきましては,地元のビジネスホテルを紹介しております。

事務局:181 三鷹市井の頭3-21-16Tel. 0422-43-5894. Fax 0422-49-6435
の方に問い合わせていただければ,参加申込み用紙をお送りします。
宿泊費はおよそ7000円〜8000円程度だと思います。

 この集会のねらいと予想されるアトリエ今回の集会の主題は,「学び」です。前回の「教育における民主主義の建設」を受け継ぎつつ,それを具体的に深化させることを意図しています。教師たちの集会では,とかく,「教えること」に重点が置かれがちなのですが,世界各国の教師たちとの経験交流を通して「学び方を学ぶ」ところに,今回の集会のねらいがあります。現在,企画準備中のアトリエは次のようなものです(今後各国からの申し出でもっと増える予定です)。

■生活綴方と自由作文
■穀物(粒から粉へ)
■土(古代土器つくり)
■紙(紙つくりから紙文化まで)
■折り紙を用いた数学
■平和教育
■学校とゴミとエコロジー
■コンピューターと学校間通信
■フレネ教育入門
■日本の伝統芸能
■日本の伝承神話/民話
■自然方式で学ぶ日本語
■こどもアトリエなど