---あ---

●アサ 

●アサガオ

アシビ

●アズキ

アネモネ

●アミガサユリ

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 アサ(大麻、ヘンプ、カンナビス)

イスラム教シーア派の別流でイスマーイール派というのがある。1090年のころ、ペルシャ北部の山間部、すなわちカズヴィン市の東北32マイルのアラムートに拠って新イスマーイール派を設立したが、これがムラーヒッド王朝、またの名を「山の長老派」である。マルコ・ポーロの東方見聞録にでてくる『山の老人』とはこの呼び名から来ている。刺客を養成して反対派の要人を倒し、その教線の拡大に努めた結果ペルシャにおいて有力な勢力となった。
 この一派はハシシュと称する大麻を用い、麻薬に供して刺客を養成し、刺激剤に利用して刺客を興奮せしめ、あるいは縊死用麻縄として暗殺手段に役立てたと称されている。現今においてもassassinの語が暗殺者を意味して使用されるのは、このハシシュを語源とするものである。

愛宕松男 マルコ・ポーロ『東方見聞録』 訳注

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『山の老人』がいかにして刺客を養成したかに付いての詳細は、ぜひ『東方見聞録』の本編を御覧になっていただきたい。また「モンテクリスト伯」に登場する“ハシシュのジャム”はじつに魅惑的である。

毒・害

薬・効

<全草、特に雌株の樹脂>
テトラヒドロカンナビノール。生葉を直接口にいれるよりも、焚いた煙りにあたったり、喫煙した時のほうが強い効力を発揮する。

症状:酩酊、精神錯乱、昏睡、幻想作用

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日本と大麻との付き合いは実に古い。しかし中近東やインド、アフリカ等で大麻が盛んに麻薬的に使用されたのに比べ、あくまでも繊維としての使用が主である。大麻が精神に作用するという認識はありながらそれを積極的に利用したという例は見えない。

これは日本で産出される大麻にはインド大麻のような成分を含有していないということによるのかもしれない。
現在、大麻の使用は『大麻取締法』によって厳重に管理されているが、(内容はこちら)  大麻の毒性は他のヘロイン、ヒロポンなどとくらべて習慣性がなく、禁断症状も現れ難い。煙草よりもその害は少なく、またパルプに変わる紙の原料、繊維などの有用性から、この取締に反対する動きがある。実際海外では解禁もしくはその方向へ進みつつある国もある。
日本でも「ケナフより大麻を」という運動がある。内容はなかなか説得性がある。

が、もちろんまったく中毒症状がないというものではない。日本の大麻とインド大麻とをどこで線引きできるというのだろう。青少年に与える影響は?
また「タバコがいいんなら大麻だって」という考え方は「隣の人がカンニングしたんだから私だって」というような子供っぽい発想のような気がしてならない。
やはり慎重に考えていかねばならないと思う。


 アサガオ

早朝に咲く花

万葉集より『朝顔』の歌

・秋の野に咲たる花を指折りかき数ふれば七種の花

・はぎの花 を花 葛花 なでしこが花 をみなへし また藤袴 朝がほの花

巻八 1537,1538 山上憶良

朝がほは朝露負ひて咲くといへど暮陰にこそ咲きまさりけれ
 
<朝顔は朝露を受けて早朝に咲くというけれど、
  夕方のほうが一段と見栄えがするなあ>

巻十 2104 読み人知らず

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秋の七草にも詠まれている『朝顔』、、、? いえいえ、この万葉集でいう『朝がほ』は実はいまでいう桔梗のことなのである。桔梗の根は漢方薬として広く利用されており、またよく似た「ヒルガオ」が食用になることからしばしば混同される。

毒・害

薬・効

<種子
配糖体のファルビチン

症状:強烈な下痢、吐き気

種は牽牛子という名前で漢方では使用される。


 アズキ

おなじみの豆

竹やぶがこんもりして竹の穂先が一様になびき、風にゆれているところに、深く掘り込んだような小川があった。秋が深まり小川も冷たくすみきって、底の石さえ透き通るように見える月夜の晩、

あずき ひとつぶ
あずき ふたつぶ
さ  さ
なむ、、、、
さらさら
あずき むらさき
あずき
うすむら
さ  さ
なむ、、、、
さら さあ、、、

か細くとぎれとぎれにこんな言葉が聞こえた。そして夜明け頃白装束の老婆がザルを大切そうにかかえてやぶかげの霧の中にきえていった。

東京都町田市「小豆婆の話」

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世界中日本人にだけとくに好まれる豆として特異な存在である。小豆は年や季節の変わり目など秩序の更新の際に多く食べられるようであり、こうした機会の物忌みの感覚が『小豆洗い、小豆婆』といった妖怪を生んだのであろうと思われる。が、よくはわかっていない。

毒・害

薬・効

<種子(豆)
多いにしろ少ないにしろマメ科の仲間は青酸配糖体を含有するので、火を通すなどの処理が必要。

症状:生を多食した場合、下痢、下腹部の張り。

<小豆粥を食べる>

東洋でも西洋でも赤は『血』を意味することが多い。小豆の赤も『血』を、そして『女性』を表す。白いお粥は『男性(精液)』の象徴。小豆粥は豊穣、新しい命誕生への祈りなのである。冬に小豆粥を食べることは、太陽の最も衰えた折に生命力を与えようとすることなのかもしれない。


 アシビ(アセビ、馬酔木)

庭の花

・鴛鴦のすむ きみがこの山斎 今日見れば あしびの 花も咲きにけるかも
(オシドリの住んでいるあなたのこの庭園を今日見ると
 アシビの花も咲いていることだ)

・池水に 影さえみえて 咲きにほふ あしびの花を
 袖に汲き入れな
(池の水にかげまでもうつして咲きほこるアシビの花を袖に
 しごきいれよう)

万葉集「巻20 4511、4512」

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万葉の時代から愛されたきた花である。奈良には『ささやきの小径』というところにみごとなアシビの樹がある。昔から人々はこれが有毒であるのを応用して動物、ことに農作物を荒らす虫や蚤、蛆等を殺すことに利用した。

毒・害

薬・効

<全草、特に花、葉
アセボトキシン、グラヤノトキシン、ピエルストキシン、クエルセチンなど。

症状:嘔吐、視覚異常、全身脱力、手足のしびれ、痙攣。
馬がこれを食べると酔うので“馬酔木”の漢字がつけられ、また人が過って食べ、その中毒によって足がしびれることから“アシシビレ”が詰まったものという説がある。

キャプション
農作物の殺虫に、乾燥した葉や茎を煎じ、その汁をさらに10倍量の水で薄めて冷めてから作物にかける。
『馬酔木』:これは明治36年に根岸短歌会が発行した短歌雑誌の名前である。正岡子規の亡くなったあと伊藤左千夫をリーダーとし、のち『アララギ』で活躍する歌人たちを生み出していった。馬酔木もアララギ(=いちい)もシンボルが毒草なのが面白い。


 アネモネ

庭の花

アプロディーテーは彼(アドーニス)の美貌のゆえに未だ幼い彼を神々に秘して箱の中に隠し、ペルセポネーにあずけた。しかし、かの女神は彼を見たときに返そうとしなかった。ゼウスは審判の結果、1年を三分しアドーニスはその三分の一を自分の、三分の一をペルセポネーの、三分の一をアプロディーテーの所に留まるべく命じた。しかしアドーニスは自分の分をもアプロディーテーに加え与えた。のちアドーニスは狩猟中にイノシシに突かれて死んだ。

ギリシャ神話

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イノシシに突かれたときに地面にしたたったアドーニスの血から生えたのが『アネモネ』であるという。ついでにアドーニス自身も、ミュラ(没薬の木)に姿をかえた母のその木が裂けて生まれた。

毒・害

薬・効
<全草
成分としてはまだよくわかっていない。毒のあるもの、有効成分のあるもの、また鑑賞用のものとさまざまある。

キャプション
きれいではあるが、摘み取るとすぐしおれてしまうことから美のはかなさの象徴であった。園芸用として愛でるにとどめたい。


 アミガサユリ(貝母)

長江の下流地方にある商人がいた。左の腕に人面のような瘡があり、別に痛むこともなかった。あるときふざけて酒をその瘡の口の中にしたたらすとその人面もやはり赤くなった。物を食べさせるとどういう物でも必ず食べた。たくさん食べた時は腕の内部の肉がふくれてもちあがる感じがした。胃がその中にあるのではないかと疑った。物を食べさせないことがあると、腕全体がしびれた。
 医薬にくわしい者が、商人に教えていろいろな薬をつぎつぎに試させた。金石草木全てを与えてみた。その中で貝母を与えるとその瘡は眉をしかめ、口を閉じた。商人は喜んだ。「この薬なら必ずなおせる」
そこで小さな葦の筒で、瘡のくちをこじ開けて貝母を注いだ。数日後、人面瘡はカサブタになってそのまま治ったのだった。

『酉陽雑俎』第15巻588/訳

毒・害

薬・効
<主に球根
フリチリン、フリチラリン、ベルチオリンなど数種のアルカロイド。


症状:中枢神経のマヒ、呼吸困難、血圧降下など。
地中の鱗茎が母貝が子貝を抱いた姿であるとして、中国で貝母の名がつけられている。
アミガサとは花の内面に紫色の網状の模様があるところから。

・鱗茎に石灰をまぶして日干しにしたものが漢方薬の貝母。咳止め、排膿、催乳、解熱などの目的で処方される。

・日本の民間療法として、痰きりなどに。外用してたむしや傷の手当てに。