越後

守門岳(すもんだけ)

2004年6月10-11日、wakwak山歩会は梅雨の合間の晴の日に守門岳に挑戦した。2001年7月、浅草岳に登ったとき、雲の中に姿を現した守門岳を望み、いつかこの山にも登りたいと思ったものだ。守門岳の山頂部は大岳(おおだけ)・青雲岳(せいうんだけ)・袴岳(はかまだけ)などの3連山である。袴岳が最高峰である。浅草岳とおなじく花の名山として人気上昇中である。山名は鳥が巣守りする「すもり山」に由来するとされている。たしかに鳥の鳴き声がにぎやかな山である。

関越で移動し、守門村の民宿、浦新に前泊し、日帰り登山するのがその計画である。熟年登山であるから、一番標高の高い保久礼(ほっきゅうれい)駐車場まで車を乗り入れることとした。このコースは往復水平距離9kmである。

守門岳へのアクセスルート(黄色)

第1日、2004年6月10日

早朝に東京を発つと昼には小出(こいで)ICに着いてしまう。2000年10月に越後駒ケ岳に登山した折の登山口、枝折峠(しおりとうげ)を再訪しようとしたが、まだ道路は閉鎖中であった。急遽、その時、前泊した湯之谷温泉郷の「駒の湯」を訪れ駒ケ岳を仰ぎ見た。建物の外壁が新しくなって秘湯のイメージが希薄になったと感じた。とってかえして守門村に入る。村から守門岳が全容を現していた。保久礼コースがとりつく大岳が少し離れているので、鞍部に一旦降り、登りなおすのがきつそうだ。今回の登山口保久礼駐車場まで車を乗り入れて宿からの所要時間を確認する。保久礼駐車場までは狭いが舗装してあり、駐車場は20台収容可能。山から下りて来た人の話では山頂は雲のなかで視界はなかったとのこと。越後駒ケ岳が遠くに見える。その左にある山は浅草岳かと思ったが、あとで地図で調べると毛猛山であった。

守門村は須原村と隣村が合併して出来た村でかの有名ブランド、コシヒカリの産地である。山の上まで一つの休耕田もなく、水田が丁寧に手入れされている。その美しさは格別である。若者が働いているので、米作がペイしているのだろう。ご同慶の至りである。冨山県ではいつでも稲作復帰可能なようによく手入れされた休耕田がみられ、群馬県では米作復帰はあきらめ、コスモス畑になっているが、ここではまったく違う。まさに比較優位が歴然とみて取れる。

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守門村から望む守門岳 左端は大岳 レールは只見線

重要文化財指定の1797年に建てられた須原の割元庄屋(わりもとしょうや)の役宅を兼ねた目黒邸を参観しようとしたが、閉館時間となっていた。北陸に多い中門造り形式である。豪雪地帯のため、背が高く、柱、梁は頑丈にできている。中世武士が帰農して庄屋になったため、野面石(のずらいし)で塀を築き、冠木門(かぶきもん)を設けて中世武士の屋敷構えになっている。目黒邸のすぐそばにある民宿、浦新は老夫婦が運営していたが、Wakwakグループが独り占めの状態で、こころ暖まるもてなしをしてもらった。(Hotel Serial No.280)

第2日、2004年6月11日

5時起床、朝食の後、6:15宿を車で出発、6:50には保久礼登山口駐車場に車を止め、大岳に向かって登坂開始。保久礼避難小屋からキビタキ清水までは元気はつらつとした100歳くらいの成木と幼木がほどよくミックスしたブナ林の中をゆく。丹沢の死にかけた老木しかないブナ林を対比してみると気候が植生に与えるおおきな圧力を実感できる。温暖化がこのまま進行すると白神山地のブナも消えてナラ林に遷移するという。

登山道は粘土質に雨水が混じって、滑りやすく、急傾斜の尾根の直登であるのでストック2本使って慎重に登る。登りの道すがら見た花は葉緑素を持たない腐生植物のギンリョウソウであった。その他イワカガミ、タムシバ、 ミツバオウレン、ヤブデマリ、オオバキスミレ、シラネアオイ、 ショウジョウバカマ、チゴユリ、ヤマホトトギスヒメアオキミツバオウレンニッコウキスゲコバイケイソウなどであった。10センチ 位の巨大なヤマナメクジには驚かされた。

ヤマナメクジ

両脇にスジがある。ちゃんと目玉が角になって突き出している。キノコが好物のようであった。

ギンリョウソウ

 

イワカガミ

 

タムシバ

 

ミツバオウレン

 

ヤブデマリ

オオバキスミレ

シラネアオイ

ショウジョウバカマ

大岳山頂に残る巨大雪庇(せっぴ)の向こうに望む袴岳とその手前の青雲岳の景観にはまさに息を呑んだ。雪庇はオーバーハングはしていないが、角が鋭角になっていて凄みがある。大岳から青雲岳に行くには200メートル下の網張(あみはり)という鞍部まで下って登り返さなければならない。この降り斜面に沢山のヒメサユリが蕾をつけていた。

大岳の雪庇越しに望む最高峰袴岳 その手前の高まりは青雲岳 (マーさん撮影)

青雲岳の肩まで登りなおすと登山道が巨大雪庇の中に消えているところが2箇所あった。二口(ふたくち)登山口からの道と合わせて緩やかな道をいくつかの雪庇に沿って登ってゆくと木道に保護された青雲岳の頂上にでる。かわいい池塘が2つあるのが不思議。雪庇が溶けた後の草原にはコバイケイソウとイワカガミが芽を出し、花が咲きはじめている。

ここで昼食をとる。今回は定番のイナリ寿しにサラダを加えた。ドレッシングを直前にかけるのでこれがなかなかいける。乳酸菌飲料でしめる。ここまではまだアイソトニックドリンクは500ccしか消費していない。汗をかかなかったためであろう。

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青雲岳山頂のコバイケイソウとイワカガミ

目と鼻の先の最高峰、袴岳までは片道20分だそうである。木道をすこし下り、登り直すと守門岳頂上だ。血を吸うウンカの群れに悩まされながら、記念撮影する。東南方向に浅草岳をみる。真南に毛猛山(1517m)とおぼしき山が見える。その更に右手奥に越後駒ケ岳が見えるはずであるが、かすみのなかに姿を隠している。

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守門岳山頂で

守門岳から北側を振り返ると手前に青雲岳、その向こうに大岳が見える。あまりウンカが多いのでカメラのレンズのゴミのように写っている。なぜかレンズとか耳の穴が好きで下の写真にも2匹写っている。レンズ真近で黒くボケたやつと青雲岳山頂に飛ぶトンビのようなやつである。呼吸時に吸い込むのではないかと心配になるほど、小さな白い昆虫も盛んに飛び回っている。登山道の石の上には体を温めようと、止まっていて人の気配で一斉に飛び立つ。シベリアのツンドラの夏はウンカだらけと聞いたが、これとおなじなのだろうか?

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守門岳山頂から青雲岳と大岳を振り返る 青雲岳の上を飛ぶ、ウンカ

帰路は全く同じコースを逆にたどった。大岳より小雨となるが、ザックカバーをかけただけで、カッパは使わず下った。保久礼駐車場からの道ではノウサギが道を横切るのを目撃した。守門温泉SLランド、青雲館で汗を流す。大正8年に作られたという錆び付いたSLがちょっと哀れ。

小出町から見る越後駒ケ岳はピラミッドのように三角形に見える。関越自動車道から、次々に姿を変える、越後駒ケ岳八海山、巻機山をみながら、帰る。何回かここを通過したが、雨が降っているのに不思議な現象であった。

トンネルをでると太平洋側は土砂降りの雨と霧であった。台風くずれの低気圧が四国に上陸したとか。天城高原SAでうどんを夕食とする。

スケジュールとパーフォーマンス

日付

場所 予定時刻 実時刻 歩数 毎時高度差(m/h) 毎時歩数

第1日目

JR橋本駅

8:00集合

8:00集合 - - -
6月 10 日(木曜日) 湯之谷温泉郷駒の湯、登山口確認、目黒邸

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民宿、浦新 16:00着 16:30着 - - -

第二日

浦新

6:00発

6:10発

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11日(金曜日) 保久礼小屋登山口(770m)

6:40発

6:40着、6:50発

0 - -
- キビタキ清水(990m)

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7:45着

1,667 239 1,881
- 大岳(1,432m) 9:30発 9:30着 3,578 230 995
- 青雲岳(1,490m) 11:10発 11:30着、昼食後12:00発 6,077 - 1,250
- 袴岳(守門岳1,537m) 12:20発 12:25着 7,424 - 3,207
- 大岳(1,432m) 14:00発 14:00着 11,978 - 2,882
- キビタキ小屋(990m)

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15:15着 16,000 354 2,546
- 保久礼小屋登山口(770m) 15:20発 16:00着 18,792 293 3,721
- 守門温泉、青雲館

16:30着

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- JR橋本駅

21:00着

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浦新宿泊代金6,500円、2食付き。守門温泉、青雲館は500円。

装備

山行装備:ストック2・雨具必帯、サポーター、暑さ対策。

食糧

食糧:チョコレート、イナリズシ、サラダ、ヨーグルトドリンク、水1.5リッター、非常食

June 12, 2004

Rev. September 27, 2009


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