鎌倉プロバスクラブ卓話

香りについて

徳網実男

2009/3/10

鎌倉プリンスホテル

西洋では香水という水とかアルコールに香料を溶解した液体が主体です。仏教でも香水(こうずい)という体を清めたり、仏具を清めるための水があります。

香りは薬にもなるものであると広辞苑にはあります。最近はアロマテラビーという言葉がフランスで始まり、英国に入り、現在では米国で普及したものが日本にも入ってきました。香草から油を採集して身体に塗ると、薬理効果があるとされています。たとえばラベンダーには精神安定効果があり、ペパーミント、ローズマリーにも薬効があるとされています。

「お線香とお香の原料」という資料を皆様のお手元に配りましたが、これを見てもらえば分かるように漢方薬、香辛料の原料そのものです。日本で最も古い香木の記録は海岸に流れ着いた材木を漁師が薪にしたところとてもよい香りがしたので朝廷に献上したものとされています。

香木は東南アジアで産する沈香(じんこう)とか白檀(びやくだん)があります。沈香の最良のものは「伽羅」と呼ばれます。史上最も有名な沈香は正倉院の「欄箸侍(らんじゃたい)」でしょう。足利義政、織田信長、徳川家康、明治天皇など時の最高権力者が削りとったとされていますが、それ以外の無名の人間も結構削り取っていることが調査の結果判明したということです。

これらは衣服に焚き込んだり、部屋に香りを焚きこむために使われました。沈香は高価なため粉末にして蜜や梅酢で練って練香(ねりこう)にして炭火の上に置いて香りを出しました。今でも炭の臭いを消すためにお茶席で使われます。平安時代には臥籠(ふせご)という駕籠に衣服をかけ中に香炉を置いて香を衣服に移す絵が残っています。室町時代には香道という香りを当てる遊びが出てまいります。

1571年頃、線香が初めて作られます。30種くらいの香木と香草を無臭のタブの樹皮を乾燥して粉末にしたものを基材に使って作ります。安いものは杉の葉を基材に使います。蚊取り線香はタブの葉を基材に使っています。

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April 12, 2009

Rev. June 3, 2009


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