鎌倉プロバスクラブ卓話

ゴルフボールの開発に関係して

萩原定秀

2008/4/8

鎌倉プリンスホテル

プロバス定例会の「私のトピックス」として話題である。

私のゴルフとの関係は若き頃、川奈ホテルのゴルフコースで道具を借りてゴルフを初めて楽しんだことに始まります。

ちょうど作家の吉屋信子さんと吉川英治氏がゴルフをしに来ていて、一緒にプレーしました。私共を「若い衆」と呼んで30-40円のライスカレーをおごってもらったことを覚えています。吉川英治氏はゴルフ好きだったのですが、相手がいないので吉屋信子さんを誘ったようです。吉屋信子さんの方が背が高くて、どちらが飛距離が大きかったかは定かに覚えていませんが、多分吉屋信子さんのほうが飛んだのではなかったかとおもいます。

ダンロップなどが作っていたボールは糸巻きボールといわれるもので、液体を入れた小さなボールに幅5mmのゴムのテープを巻きつけ、そのうえに直系1mmのゴムひもを巻きつけて、最後にプラスチックの皮でカバーをしたものでした。ゴムひもは2倍に引き伸ばしてテンションをかけて巻いております。

私は高分子の研究者だったのですが、トレビノの宣伝のおかげで売れたワンピースボールのメーカーだった保土ヶ谷化学から糸巻きボールと同じような感触をだせないかと相談がきました。カバーの厚みを変えたり、加硫もどりなどを加味して糸巻きボールと同じ性能を出そうと苦労したことがあります。現在は各社工夫して基本的にはワンピースボールになっております。

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グリーンウッド氏はこの話しを聞いて、もし糸巻きボールの良さがゴムひもにテンションをかけることにあるならば、中空のゴムボールを作り、その中の空洞に液状のモノマーを注入して空のゴムボールを膨らませてテンションをかけ、後、中のモノマーを重合材でゆっくり固まらせれば糸巻きボールと同じ物性をもつゴルフボールが作れるのではないかと質問するとそういう発想は聞いたことがないという。当たり前だ。これも連想から得られる発明の一種だろう。特許を申請するつもりはないのでここで公開情報としておこう。

April 9, 2008

Rev. June 3, 2009


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