2008年の航海日誌

2008年3月22日(土)、 東の風、風速5m/s、晴れ。今年初めてロカ号を訪れる。このところ強い風が3日程吹いたが、異常なし。1時間エンジンをかけてバッテリー充電をする。その間、コーヒーを沸かし、フェルナン・ブローデルの「地中海」を読む。ものの見方が同じで読んでいいて心地よい。

イースト・ウィング

夜間右手から赤色の舷灯(ポートサイド)を見せて接近する横切り船または白色のマスト灯が2個垂直にして、かつ青と赤の舷灯を同時に見せている真向かいに行きあう場合は互いに他の船のポートサイド側を通過するように右に舵を切るか、減速して避けなければならないことになっている。 しかし護衛艦「あたご」はこの国際統一ルールに従う海上衝突予防法に従わず、自動操縦を解除しないまま、高速で漁船団の中に真っ直ぐ突っ込んだ。そして国際統一ルール通り右に回避したマグロはえ縄漁船清徳丸を粉砕した事故を見てあまりのお粗末さにあきれる。昼なら自衛艦などにはヤバイと近づかないのだが、夜は大型船かどうかも分からず、やはりルールはお互い守ってもらわなければという思いだ。きつく罰して、反省させなければならないだろう。

国際的には世界共通の規格である国際VHFの16チャンネルを共通通信基盤とすることになっていて米国では出力を弱めた小出力型国際VHFが1万円程度で市販されている。無線免許が不要で小型漁船やレジャー船で使われている。 しかし日本では船種毎に縦割りの通信システムを守り続けている。日本の漁船は国際VHFとは別の漁業用無線を使っていて、国際VHFとは交信できない。小型レジャー船は国際VHFと交信できるマリンVHFがあるが20万円もして とても買う気はおこらない。アマ無線免許はもっているが、これも相手がもっていないので役に立たない。こうして海上衝突予防には役立たないのである。これも縦割り官庁の弊害である。

2008年5月1日(木)、西南西の風、風速6-8m/s、晴れ、マリーナに着くと巨大なカタマランがビジターバースに係留されていた。船体のGitana13号とあり、LCF Rothschildとある。ライオンとワシと5本の矢をあしらった畳2畳の大きな社旗がはためいている。小さなフランス国旗と日章旗も上がっている。クルーはフランス人。サンフランシスコから横浜まで11日で着いたという。

Baron Benjamin de Rothschildの持船 Gitana13号

1953年にBaron Edmond de Rothschildによって設立された投資銀行LCF Rothschildの現オーナーBaron Benjamin de Rothschildの持船だ。ロスチャイルド王国の初代のMayer Amschel Rothschildの子Jamesがパリに銀行を開設してから5代目の当主だ。

まだ海水は冷たいのだろう。マリーナの水底が透けてみえる。落水しても助かるように早速ベストを着用。

Roca号の出港準備完了したところで風が8m/sとなり断念。コーヒーを沸かして「カンブリア爆発の謎」を読む。眠くなったのでキャビンで午睡。天窓から涼しい風が吹き込んで心地よい。 オーナー達はメンテナンスをしたり料理を作ってデッキで食べている。気楽なので皆一人で楽しんでいる。インスタントのアルファ米や味噌汁など用意してあるが非常用にしてピアー1でラーメンの昼食をとって帰る。

キャビンの天窓

2008年8月20日(水)、北東の風、風速3m/s、晴れ。今年は登山に忙しく3ヶ月もご無沙汰してしまった。船底は比較的きれいであった。エンジンはすぐかかったが、冷却水がでない。炎天下で塩が出口を塞いでいると判断し、カウリングをはずして、冷却水放出口に連なるゴムホースをはずして口で吸い込むと塩の塊が口の中に飛び込む。これで修理完了。

冷却水放出口に連なるゴムホースをはずす

1時間アイドリングでバッテリー充電。

船底ブラッシング、もやいロープの締め直し、デッキモップがけをした。天窓は外にも開閉ハンドルがついていることに気がつく。盗難防止には内部でロックをしなければいけないことにいまさらながら気がついた。よくマニュアルを読んでいないからである。

コーヒーを沸かして一休み。その間Garmin社製GPSmap60CSxに日本航海参考図のmicroSDカードを装着してロカ号の位置を登録。

2008年11月6日(木)、東の風、風速2.2m/s、晴れ。米国ツーリングなどのため2ヶ月ちょっとご無沙汰。昨年来航した1934年建造のアメリカズカップ挑戦艇Endeavour号がまた停泊している 。9月24日から11月末までここにとどまるという。クルーが盛んにメンテナンスしていた。

Endeavour号

ロカ号はエンジンもなかなかかからないし、冷却水もでない。カウリングをはずして、冷却水放出口に連なるゴムホースをはずしてノズルの塩の塊を取り除いてもだめ。エンジン・ケーシングにスイス・アーミーナイフの爪楊枝を差し込んで塩の塊をとること3度。ようやく開通。1時間アイドリングでバッテリー充電。船底とラダーをブラッシング。2度塗りしたためか今年は昨年に比べ貝の付着が少ない。デッキの肌はよる年波で荒れ気味。

2時間ばかり作業して藤沢の電気店にフラットパネルTVを発注に移動。20年以上使っていたシャープのブラウン管TVがご臨終となったため日曜の「篤姫」を観るためにぎりぎりの時間だ。おなじシャープの製品を購入。台をはずして手持ち戸棚の中に収納するためには37インチがぎりぎりの大きさだ。

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