ロカ号

航海計器

携帯電話

(財)日本海洋レジャー安全・振興協会、BAN(Boat Assistance Network)によれば、2004年の上半期の関東BAN出動27件中、スクリュー障害8件、エンジントラブル6件、乗上げ3件、絡網2件、バッテリー過放電2件、舵故障2件、浸水1件、燃料欠1件とのこと。

船に遭難はつきものである。グリーンウッド氏はBANに加入して救援体制は整備したつもりである。しかし救助要請ができる通信システムと自分の位置を正確に把握できるGPSがなければ意味がない。

通信システムとしてアマ無線も持っているが、緊急の用をなさない。携帯は海上では沿岸から10km以内なら通話できる。はじめに持ったNTTドコモのNEC携帯は雨でだめになった。雨に関してはアフターサービスはしないというのでauに替えたのだがauはNTTに比べ、海上と山でカバーする範囲が狭い。そしてそのauの携帯も3年使っていると送受信が難しくなってきた。2004年11月シエラザード回航にクルーとして参加したとき、岸から18kmの相模湾中央で通話できないことが判明した。

そこでNTTドコモのGPS携帯F661iを選んでいまでも山と海で使っている。

初代GPS

GPSに関しては当初シングルハンドで使えるハンドヘルドのGPSを採用した。エンペックス気象計株式会社のポケナビmap21である。一応1/200,000の全国地図を内臓しているので、登山にも利用できる。ただこの製品は3年目には単三乾電池が瞬く間に空にな るようになった。多分、CPUかプリント配線が故障したのだろう。

初代GPS

ヘリー/ハンセンの防水袋に入れた2代目GPS

2代目GPS

次期機種としてはGPS内臓の携帯とすることに決定。電波のカバー範囲からまたシエラザードのオーナーが実際にNTTドコモのGPS携帯F661iを使って相模湾中央から通話できた実績からNTTドコモに軍配が上がるが、auとの契約の継続も考慮し、両者の機能を比較してみた。

機能 NTT docomo au
GPS型 サーバー・アシスト型 サーバー・アシスト + 自立型
GPS測位のメカニズム GPSボタン長押しで衛星からのデータを受信し、そのままドコモのDLPセンターに送信。ドコモのDLPセンターが携帯から送られた衛星からのデータをもとに携帯の緯度経度を計算し、携帯にその結果を送信。 携帯はドコモのDLPセンターから受信した緯度経度を地図上で表示。記録、通知など各種メニューあり。データ通信のためiモード契約が必須となる。 初回のみサーバー・アシスト型で測位し、以後秒単位で内臓CPUにて測位を継続し、地図上に移動コースを表示する。電子コンパスを使って常に移動方向が上になるように地図を回転表示する。
GPSの用途 測位毎にセンターに通信するため、継続的な移動コース表示には向かない。山とか海上のピンポイント測位向き。 都市の込み入った路地で使う歩行者ナビとして有効。
GPS携帯の機種 富士通製 F661i または F505iGPS(カメラ付き) 東芝製C3003P、A5501T、A5504T、A5506T サンヨー製A5505SA(米国など一部海外で使用可能)、
位置情報通知サービス会社 通話ボタン長押しで潟純ネットサービスの海山ざんまいが携帯から緊急通報を受ける。位置情報を確認し、 海の場合はBANに地図と文字で救助要請を出す。 都市でのサービスプロバイダー多数。しかし海上はない。
BANとの連携 有り 無し

auは都市空間のハイカイ向きである。auは携帯の故障なら無償修理すると申し出た。これはドコモより良いアフターサービスであるが、BANとの連携をするサービスプロバイダーを持たないのでやむを得ず2004年11月20日に解約。態度の大きいNTTドコモに帰らざるを得ない。auには都市をハイカイする若者だけでなく、山や海をハイカイする老人もマーケットの視野に入れるように要望した 。

2004年 11月25日にF505iGPSを契約した。機器はプロモーション期間中として無料に近い。早速測位 してみた。見晴らしの良いところではレベル3となり、10m位の誤差である。レベル2で50m、レベル1で20km位の誤差である。地図は内臓しておらず、都度ダウンロードするようである。海上では地図は役にたたないから、 タック毎に測位しておけば、測位履歴から後で、カシミールで海図上に航跡を描くことに使える。緯度・経度はWGS84表示である。

ワムネットと海ざんまい契約をし、パソコンで指定のURLにアクセスし、ID、パスワード、携帯番号などをキーインし、検索ボタンを押すと携帯のバイブレータが振動し、GPSの測位など一連のシークエンスが進む。やがてPCの画面上に携帯の現在位置が何丁目までの地名、緯度・経度とともに地図にクロス印で表示され た。

2004年 12月1日小石川後楽園の深い樹林のなかで潟純ネットサービスとの契約に従い「海ざんまい」の救助要請信号を試験発信をしてみた。ハングアップボタン一つ長押しするだけだから、防水袋に入れたまま発信可能である。パニックボタンの原理である。発信後3分でワムネットからなにか異常があったのかの問い合わせがきた。契約による試験発信と回答し試験は完了。 測位試験もパス。

2005年3月、海と山のサービスが合体され、登山用には国土地理院の5万分の1の地図を表示し、海用には一般の市街地地図を表示する。表示縮尺変更、スクロールも可能となった。

海山への出発時点で出発申請できる。このとき参加者数、ルート、帰着予定日を入力できる。申請後10分後、1時間後、5時間後の位置を自動的に記録してくれる。

自動記録の他に、指定した位置記録をサーバーに残し、後で携帯電話経由で閲覧可能である。ここで緯度・経度を読みカシミールで地図上にその地点を表示できる。

行くえ不明になって連絡なきときは家族、友人が海山センターに問い合わせれば、出発申請情報とその後の記録データを提供してくれる。

パソコンからの第三者位置検索サービスの検索結果サンプルは広町緑地の桐見台最高地点に携帯を持っていって測位し記録した緯度と経度をカシミールの2.5万分の1の地図に入力して作成した地図と差し替えてある。

2006年11月、潟純ネットサービスとの契約は2年目を完了する時点で解約した。NTTドコモのGPS携帯F661iは2007年一杯でサービス中止し、Formaに機種変更しなければならな いと通告がきた。これで2度NTTドコモに裏切られたことになる。また海では兎も角、山では電波が届かず殆ど役にたたないと分かったことも理由の一つだ。

3代目GPS

3代目GPSとして1/25,000の日本詳細道路地図シティナビゲーター(1Gb)、10m間隔の等高線の入った日本地形図TOPO 10m(2Gb)、日本航海参考図(256k)、CityNavigator North America(2Gb)、MetroGuide Europeが使えるハンドヘルドのGarmin社製GPSmap60CSxを検討していたが、高価なため、数年購入をひかえた。しかし2008年のバイクによるルート66ツーリングを契機として 思い切って購入した。バイク用、セーリング用、登山用に共用するがヨーロッパドライブにも使うことも考えてのことである。

3代目GPS Garmin社製GPSmap60CSx (バイク装着時

ポイントの登録は地図を格納してあるフラッシメモリーではなく本体のメモリーに記録されるようで、日本詳細道路地図シティナビゲーター、10m間隔の等高線の入った日本地形図TOPO 10m、日本航海参考図、CityNavigator North Americaいずれを使っても検索したポイントはどの地図を搭載しようが全てのリストが見える。保存すればルートナビゲーションの目的地として使える。

iPhoneのGPS機能

iPhoneのGPS機能も検討したが、現在のNTTdocomoと長期契約して安くしているのでダブルに携帯電話をもつことは無駄である。SoftBankは田舎では通信できないところが多い。仮にNTTでiPhoneが使えるようになっても登山などでは旧式のmovaが一番だ。

iPhoneの地図はGoogle地図を使っているので長時間通信回線を使うことは通信費がたかくなるし、道路探索機能(ルートナビ)は日本ではまだ開始されていない。

 

無線機

NTTドコモの携帯F661iが第一無線機である。

携帯の電波の届かない場合の対策としてF3 145MHz 10Wのアマ無線機を用意してある。

ケンウッドの無線機

国際的には世界共通の規格である国際VHFの16チャンネルを共通通信基盤とすることになっていて米国では出力を弱めた小出力型国際VHFが1万円程度で市販されている。無線免許が不要で小型漁船やレジャー船で使われている。

しかし日本では船種毎に縦割りの通信システムを守り続けている。日本の漁船は国際VHFとは別の漁業用無線を使っていて、国際VHFとは交信できない。小型レジャー船は国際VHFと交信できるマリンVHFがあるが20万円もして普及していない。こうして海上衝突予防には役立たないのである。これも縦割り官庁の弊害である。


気圧計

バリゴ社製のデコレーション用の気圧、温度、湿度計セットには興味を持っていたが実用的でもないのでいままで購入したことはなかった。愛用していたCORUMのAdmirals's Cupが汗で止まってしまってから腕時計がもうひとつ必要となった。ちょうどいいとカシオから売り出したばかりのソーラーセル駆動、電波時計同期、気圧、温度、コンパス内蔵腕時計CASIO Protrek PRW-1500J-1JFを購入。主たる目的は気圧計を使った高度計で登山に便利だ。コンパスも気温計も使える。米国とヨーロッパの電波時計にも対応している。

CASIO Protrek

 

コンパス 深度計

コンパスは標準の球形のものだ。

エタップ社はパトリオット・ミサイルのメーカー、レイセオン社の航海計器を選定している。英国のノーテック社を1990年に米国のレイセオン社が買収したものという。この会社はプレジャーボート向けに深度計、速度計、温度計の3点セットのトライデータ、自動操舵装置、風向・風速計を供給している。レイセオン社は2001年にマリンレクリエーション部門をヨーロッパのベンチャー・キャピタルに売り今はレイマリン社となっている。社名が変わっても、本社はポーツマスにある。

深度計は超音波の反射による計測をしているためセンサーはキール前の船底に装着している。測定深度は船底のセンサーからの深度であるため、キール底からの深度を表示するためにはキール深さ1.5メートルを計器に入力して補正してキール底からの深度を表示させることができる。また危険深度の警告点設定をすれば警告もしてくれる。

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コンパスとトライデータ表示器


速度計

速度計は水流による羽根車の回転数を磁気でカウントする一般的な方法を採用しているため、センサーはキール前の船底に装着している。羽根車が海洋生物付着で固着しないよう速度センサーだけは、船内より取り外しが可能になっており、洗浄が可能であり、長期係留中はダミーと交換しておける。25センチ海面下に設置されているため、脱着時は海水流入があるためモップ処理が必要。取り付け不良で水がもれるようであれば、水船になる。4月中旬に取り付け、6月3日でスピードを正しく示さなくなり、6月9日で完全に固着。1ヶ月が限度のようである。真夏なら10日で固着する。

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速度センサーとダミー

累計航海距離も計算して表示してくれる。


自動操舵装置

自動操舵装置(商品名はオートヘルムST2000+)は地磁気を機械的に検出するフラックスゲート・コンパスで方位を測定し、この方位を一定に保つようにティラーを駆動するサーボモーターと、演算処理基板を内蔵している。

自動操舵している状態でポート・スターボード両方向1度、10度の自動変針、100度の自動タック機能、障害物回避を行なうドッジ機能をもっている。頻繁は舵操作を避けてスピードロスを避けるためにデッドバンド操作も可能である。緊急時の自動操舵から手動操舵への切り替えはボタン操作とオートヘルム機器のティラーからの脱着の2アクションで可能である。このような機能によりシングルハンド・セーリングが可能となる。

0.1海里直進してコースを教えるか、別途用意する航海機器からNMEA0183 or 0180フォーマットのGPSデータによる通過点を2点以上与えれば、前の通過点から次の通過点を結ぶコースを海流などの横流れを修正して維持する。

風向計データをNMEA0183 or 0180フォーマットのSea Talk Bus経由で連結すれば、チェチェスター卿がシングルハンドで無寄港世界一周帆走したジプシーモス号が使ったようなウインドベーンなしで、風に対し一定の角度を維持してくれる。

電源はバッテリーであるが、出入港時のエンジン使用のみで一日分の消費電力は賄える。日本製に比べ頑丈な作りで安心感がある。固定金具が海に落ちないようロープをつける。

2001年5月10日作動試験をしたが、問題なし。

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自動操舵装置(オートヘルムST2000+)

2001/5/7

Rev. September 17, 2008


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