一時期、電磁波がガンなどの原因になるのではないかと騒がれたときもありましたが、最近では沈静化しておりました。
しかし鎌倉市は複雑な地形もあり、各携帯電話会社が人家の庭、ビルの屋上などに大金を支払って沢山アンテナを建てています。金が入らない周辺の住民が景観とか電磁波障害を持ち出しで電話会社に撤去を求めて争う構えとなりました。そこで市としては全国にさきがけ条例を作り、業者に事前に周辺の住民に説明することを義務付けました。
我が家の傍ではもっとも古くからあるアパートの屋上にNTTのアンテナが最近立ちました。それでもNTTの電波は弱く、改善された様子もありません。 別の会社は同じ屋上にもう一本建てる契約を結んだようです。条例を作った人がきて、住民説明会が開催されました。
電磁波とは
電磁波とは下表のようなものです。遠紫外線より波長の短い電離放射線は体を通過するときにDNAを損傷するためガンを発生するおそれがあります。おそれというのはDNA修復能力は人により違うためです。この違いは遺伝です。ドイツでは原発に近いところの幼児は発ガンの確率が高いことがわかっており、関連が疑われていますがこれは排出された放射性物質がガンマ線を出すからです。
ブラウン管、蛍光灯はX線を蛍光塗料で可視光に変換して使いますので、少しX線がもれ出ますので1m以上はなれて使うことが必須です。
種類 | 略号 | 波長 | 周波数 Hz | 分類 | 障害 |
g線 | - | <0.1Å | 100keV | - | 電離放射線 |
X線 | - | <1Å | 10keV | - | |
遠紫外線 | - | 10-100nm | 10-100kev | - | |
紫外線 可視光線 | - | 100nm-1mm | 1-10kev | - | 非電離放射線 |
赤外線 遠赤外線 | - | 1mm-100mm | 30T-3T | - | |
サブミリ波 | - | 100mm-1mm | 3T-300G | - | |
ミリ波 | EHF | 1mm-1cm | 300G-30G | マイクロ波 | |
センチ波 | SHF | 1cm-10cm | 30G-3G | ||
極超短波 | UHF | 10cm-1m | 3G-300M | ||
超短波 | VHF | 1-10m | 300M-30M | - | |
短波 | HF | 10m-100m | 30M-3M | - | |
中波 | MF | 100m-1km | 3M-300K | - | |
長波 | LF | 1km-10km | 300K-30K | - | |
超長波 | VLF | 10km-100km | 30k-3K | 低周波電磁界 | |
極低周波 | ELF | 100km-1,000km | 3k-300 |
テレビのチャンネルを変える手持ち機器は赤外線をだしますが、発信が短時間ですし、バッテリーが何年ももつ位、エネルギーは微弱ですので殆ど問題ないでしょう。
マイクロ波
赤外線より波長が長いマイク波が我々の身体にどのような影響を与えるかといえば、体のなかに誘導電流を発生させ、加熱することです。遠赤外線が魚を中から焼くというのはこのことです。超短波とは遠遠赤外線だからです。これがDNAを損傷することは あるかどうかが微妙なところです。
アマ無線はVHFで144MHzであるのでマイクロ波とは言わない。UHFの300MHz以上をマイクロ波といいます。従って親子電話の周波数380.2125KHz-381.3125MHzは一部マイクロ波といえます。携帯電話の周波数800MHz、1.5GHz、1.9GHz、PHSは1.9GHz、無線LANの2.4GHzで電子レンジの2.45GHzは完全にマイクロ波です。無線LANと電子レンジは近いため干渉することがあるそうです。
マイクロ波の日本での規制値は携帯電話基地局900MHzで600W/cm2、1,500MHzで1,000W/cm2です。
カルフォルニア州のSage Associateがまとめたマイクロ波が人体に与える影響は下表の通りです。
電力密度(mW/cm2) |
生体への影響 |
0.1 | 携帯電話を耳につけて話すと脳波に異変を生じる |
0.16 | 子供の運動機能、記憶力、注意力に影響あり |
0.2-8 | 小児の白血病は2倍 |
1.3-5.7 | 成人の白血病は2倍 |
2-4 | アルツハイマーや痴呆になりやすい |
4-10 | 子供の視覚反応が鈍くなり、テストでの記憶機能低下 |
5-10 | 神経系統の活動に障害 |
10 | 視覚反応が鈍くなり、テストでの記憶機能低下 |
10-25 | 脳の海馬に変化 |
我が家のマイクロ波強度測定
2種類の電波強度測定器を使って我が家の電波強度測定をしてみました。以下がその測定結果です。 携帯電話や無線LANを気にしていたのに居間に設置した2代目ファックス親子電話の親機が50MHzのVHFから381.3125MHzのUHF帯域で30cmの距離で1.6mW/cm2の強い電波を出しているのをみて非常に驚きました。 使用しないときも強い電波を継続的に発信しています。何度計測してもかわりません。お隣の家の親子電話は0.4mW/cm2といいますからPanasonicKX-PW501-Sを使っている人は 特に要注意と思います。初代ソニー製ファックス親子電話の10年を加えればかれこれ20年間この電波を身近に浴びていたことになります。
2階の書斎に移設した初代ソニー製ファックス親子電話(計測忘れ)は早速廃棄し、2代目は廊下に追放しました。長話をしなければ問題ないと判断しました。電話線はこの移設に伴い天井裏を通す大工事になりました。子機の電波は弱いし、使っているときしか電波をだしませんので廃棄せず2階の寝室にいまでも置いてあります。
測定機器 | TES 92 Electrosmog Meter | TriField Meter Model 100XE | TriField Meter Model 100XE |
測定波長 | 50MHz-3.5GHz | Radio/Microwave(50MHz-3GHz) | Electric(50-100kHz) |
電力密度 | mW/cm2 | mW/cm2=1,000mW/cm2 | volts/m |
ファックス固定電話親機、PanasonicKX-PW501-S(常時) |
5.2(0cm) to1.6(30cm) |
0.01(0cm) | 150 (0cm) |
固定電話、子機(発信時) | 0.001 | 0 (0cm) | 0 |
無線LAN発信機(常時) | 0.1 (10cm) | 0 (10cm) | 60 (0cm) |
携帯電話(発信中) | 0.03-0.05 (0cm) | 0 (0cm) | 0 |
アマ無線(144MHz発信中) | 25( 30cm) | 0.02 (30cm) | 1,000 (10cm) |
SECOM機器 | 0.1 | 0 | 150 (10cm) |
PC(使用時) | 0 | 0 | 250 (10cm) |
TV(使用時) | 0 | 0 | 150 (10cm) |
電子レンジ(使用時) | 18 (10cm) | 0.02-0.2 (10cm) | 0 |
卓上IH調理器(使用時) | 0.01 (10cm) | 0.2(10cm) | 1,000 (10cm) |
床ヒーター(使用時) | 0 | 0 | 0 |
電気毛布(使用時) | 0 | 0 | 0 |
玄関 | 0 | 0 | 0 |
居間 | 0.1 | 0 | 0 |
寝室 | 0 | 0 | 0 |
トイレ | 0 | 0 | 0 |
浴室 | 0 | 0 | 0 |
マイクロ波と健康
携帯電話は待機状態にあるときは電波を出しませんが、電話をかけるときは小型とはいえ、電波をだします。携帯電話をかけると電池が早く消耗するのはそれだけエネルギーを使うからです。そして携帯電話を耳につけてつかうため、その半分のエネルギーは会話者の脳を加熱することに使われてしまうのです。これゆえ幼児は携帯を耳にあてて会話することは避けたほうが良いでしょう。脳の中の一部が加熱されて微妙な神経細胞を焼ききってしまう恐れがあるからです。使用頻度の高い人はイヤフォン・マイク・セットを使うとよいでしょう。電子メールは耳につけて使うわけでもなく、瞬間に発信しおえますのでまず問題にもならないでしょう。
幼児に携帯とか子機を与えて話させることはしないほうがよいと思います。まだ脳が成長期にある小学生も使うべきではないでしょう。外国ではアジアを含めこれが常識となっていますが日本ではその辺の認識がマスコミの不勉強もあって無知のままです。
子機のある電話機は親機も子機も子機を使う時電波を出しますのでできるだけ親機を使うようにしています。子機を幼児に使わせることは避けるべきでしょう。
我が家では無線LANのアンテナは常時人から離すべく、天井近くに設置し、スマートフォンのアンドロイドを 家のなかでは無線LANと連動させて、外出先では3G経由で使いますが、これは手に持って使います。電波は瞬間ですから問題ないと考えています。
私はマイクロ波を使う電子レンジにスイッチを入れるとき、シールドからもれ出る18mW/cm2の電磁波で髪の毛や皮膚がフワッと感じますが、すぐ離れれば大丈夫でしょう。
家庭で接することの多い50Hz あるいは60Hz程度の低周波電磁界は遺伝子に直接影響を与えはしないともいわれております。しかし研究を行っている人々の間では、電界や磁界が低い周波数でも生体を構成する高分子にさまざまな作用を及ぼすことが知られています。
こういう意味でテーブルに乗せる電磁(IH)調理器はマイクロ波は出しませんが、50Hz あるいは60Hzの強い磁場を発生しますのであまり好ましくありません。
国際がん研究機関(IARC)が2001年に行った発癌性評価では、送電線などから発生する50Hz あるいは60Hz磁場には「ヒトに対して発がん性がある可能性がある」(Possibly carcinogenic to humans)と分類しました。これは「コーヒー」や「ガソリンエンジン排ガス」と同じレベルにあたるそうです。
高圧送電線や、通常の市街地の電線、柱上トランスなども槍玉にあがりますが高々50-60サイクルという低周波ですので電磁波といっても離れていれば殆ど問題になりません。
電気毛布、電子カーペットなどはマイクロ波をつかいませんので殆ど無害ですが身体に密着して使うものですから何らかの障害がでるかもしれません。肌に密着しますので避けたほうが良いでしょう。
静的電磁界は何ガウスあってもたいした影響はないでしょう。超低周波電界については「ヒトに対して発がん性を分類できない」(cannot be classified as to carcinogenicity in humans)と分類されています。これは「カフェイン、水銀、お茶、コレステロール」等と同じレベルにあたります。
May 1, 2010
Rev. July 5, 2010