言語録

シリアル番号 日付

1403

2011/1/9


名言 ・・・語は、物事の本姓について思い浮かべる意味のほかに、話し手の本姓、性向、関心による意味ももつのであり、徳と悪徳に関する諸名辞はそのようなものである。すなわち、他の人が「恐怖」と呼ぶものを、ある人は「智恵」とよび、他の人が「正義」と呼ぶものを、ある人は「残忍」と呼び、他の人が「広量」と呼ぶものを、ある人は「放縦」と呼び、他の人が「愚鈍」と呼ぶものを、ある人は「沈着」と呼ぶ、といった具合である。
言った人、出典 トマス・ホッブス「リバイアサン」第一部4章
引用した人、他 神崎繁が「私の『欄外書き込み』(マルギナリア)から」ーホッブスのメディアからー学士会報1998-II No.819

この下りはホッブスが訳したツキジデスの「戦史」第三巻82節の次の一説に酷似する。

たとえば、無思慮な暴勇が、愛党心から発する勇気と呼ばれるようになり、これに対して、先を見通してためらうことは臆病のかくれみの、と思われた。沈着とは卑怯者の口実、万事を慮るとは万事につけて無為無策であることの表白に他ならず、逆に、気まぐれな智謀こそ男の男たるゆえんとされ、安全を期して策をめぐらすといえば、これは耳ざわりのよい断わり文句あると思われた。・・・陰謀どおりに事をとげれば知恵者、その裏をかけば益々冴えた頭といわれた。
 

 


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