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952

”きれい”社会の落とし穴

2005/04/13

寄生虫の分泌排泄管から分泌される分子量2万のタンパク質があり、これが人の体にはいるとアトピー、喘息、花粉症などのアレルギーを抑えるということを藤田紘一郎氏が発見した。彼は日本でアレルギー学会でアレルギーが増えたのは回虫を追い出さしたためだという説を15年間主張しても全く無視された。主流の公害説、排気ガス説、食品添加物説、密閉した新しい家屋に溜まるケミカルという説ばかりがもてはやされた。

寄生虫の分泌排泄管から分泌される分子量2万のタンパク質がアレルギー反応のもとになる肥満細胞(マストセル)を覆って、肥満細胞が破れないようにするのがその効用。肥満細胞が破れるとそこからヒスタミンとかスローリアクティブ・サブスタンス(SRS)、セロトニンという物質が組織にでてきて反応するのがアレルギー。鼻の粘膜の肥満細胞が破れてヒスタミン)、セロトニンがでるとクシャミ、鼻水、鼻づまりがおこる。気管支の場合は喘息、皮膚の場合はアトピーとなる。

抗ヒスタミン薬はヒスタミンを中和するだけたから、症状が少し改善するくらいで根本治療にはならない。

分子量2万のタンパク質をつくる遺伝子を大腸菌にいれて培養して精製したこの物質をネズミに注射するとネズミのアレルギーは直った。このたんぱく質を薬にしようと米国で特許をとり、アメリカのベンチャーと組んで治験まで進んだのだがアレルギーはピタリおさえられるのだが、免疫のバランスを失ってガンになりやすいことがわかって頓挫しているという。

免疫はヘルパーT細胞1(Th1)とTh2の拮抗の上になりたっている。Th1はインターフェロンとかナチュラルキラー細胞(NK細胞)をつくって毎日発生する3,000個以上のがん細胞とかウィルスを食べてくれている。Th2はアレルギーのキラーだ。分子量2万のタンパク質を注射するとTh2が勝ってアレルギーは治るが、Th1が弱くなってガン細胞を見逃してしまうことがわかった。西洋医学の方向ではアレルギー薬はつくれず、薬事法違反と食品衛生法違反してサナダムシをお腹に飼うしかないというのが現時点の結論。ちなみに藤田紘一郎教授はお腹に名前をつけた虫が治まっているそうだ。

今後ヒトは回虫、皮膚常駐菌、腸内細菌、膣のデーデル乳酸菌などと共生してゆかねばならぬだろうというのが教授の考えのよう。まして抗菌下着、抗菌石鹸などのグッズは墓穴をほるものであるとのこと。

2005/3/1発行の学士会報No.851藤田紘一郎東京医科歯科大学教授の”きれい”社会の落とし穴ーアトピーからO-157までーという講演録の要約。

欧米では日本ほどアレルギー疾患が増えていないのは土足で家に上がる生活習慣のためばい菌との共生が成立しているからとの説がある。


しかし世界の潮流はIgG vs IGE拮抗のようだ。

ナツメの効用

Rev. November 27, 2008


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